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「独立の潮流」ベネチアにも ネット住民投票、賛成89%

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「独立の潮流」ベネチアにも ネット住民投票、賛成89%

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 イタリアの観光地ベネチアを州都とする北東部のベネト州で3月16日から21日までイタリアからの分離・独立の賛否を問う「ネット住民投票」が行われ、企画した地域政党などのグループは投票者のほぼ9割が独立を支持したと発表した。結果に法的拘束力はないが、ベネト州独立を推進する複数の地域政党は独立に向けた法案づくりを目指すとしている。欧州では近年、分離・独立を目指す動きが各国で顕在化し、今年秋には英国のスコットランドとスペインのカタルーニャ地方で正式な住民投票が実施されるが、潮流の背景には2007年夏以降低迷する経済情勢下での募る住民の不満がある。

 230万人参加

 ベネト州のネット住民投票は、ウクライナ南部のクリミア半島で16日に行われたロシア編入を問う住民投票を意識し、同じ日から開始された。フランス通信(AFP)などによると、州の有権者380万人のうち、約6割に当たる230万人が参加し、89%が独立に賛成した。クリミアでの投票率83.1%、編入支持96.77%には及ばなかったが、予想を上回る独立を望む声が寄せられ、州第2の都市パドバでは21日、街の広場に数百人の独立支持派が集まり、歓声を上げて喜び合った。

 独立派が建国を目指す「ベネト共和国」(仮称)は、7世紀からナポレオンに征服された1797年まで経済・文化・貿易の一大拠点として栄え、独自の軍隊も有した都市国家「ベネチア共和国」に着想を得ている。ベネチアはナポレオンの軍門に下った後、オーストリアの支配を経て1866年にイタリア王国に編入されたが、かつての北イタリア諸国の中でも別格の存在であり、住民の自意識も強い。

 経済的不満が後押し

 今回、その自意識に加え経済的不満が分離・独立の気運を高めた。イタリア政府はベネト州から年間710億ユーロ(約10兆円)の税金を受け取っているが、政府が州に施す投資・サービスは210億ユーロ(約3兆円)にとどまっているからだ。独立を主張する地域政党「ベネタ独立党」はAFPに、景気後退のあおりを受け苦境にある州住民に対する支援策や、所得が低い南部地域での税金の無駄遣い防止策などが不十分なため分離・独立運動は高い支持を得ていると説明した。

 イタリア北部コモのインスブリア国立大学のパオロ・ベルナルディーニ教授(50)=欧州歴史学=は「欧州は今、統合から分離へ流れが向かっている。だがこれは決して悪い分離ではない。グローバル化から地域の伝統と自治を取り戻す、肯定的な分離だ」と話している。

 住民投票による地方自治体の分離・独立はイタリア憲法に抵触する可能性もあり、今回の投票への伊メディアの関心は高くない。しかし、欧州連合(EU)という統合の枠内では、マイクロナショナリズムとも言うべき分離・独立の動きが起きているのは確かだ。(SANKEI EXPRESS

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