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【ウクライナ情勢】クリミア住民投票 「祖国に戻れる」 ロシア編入に歓声

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【ウクライナ情勢】クリミア住民投票 「祖国に戻れる」 ロシア編入に歓声

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 「この日を待っていた」。ロシア編入の是非を問う住民投票が行われたウクライナ南部クリミア自治共和国では3月16日、「ロシア編入」を歓迎する声が街中にあふれた。投票に反対する声は、ロシア軍や「自警団」と呼ばれる武装集団が厳戒態勢を敷く中、事実上封殺された。

 10人中8人が支持

 「運命の日」-。クリミア当局側がこう呼ぶ、16日の住民投票は、前日の快晴とは一転した雨模様の中で行われた。それでも、投票開始の午前8時前から投票所には行列ができた。

 投票所からは、水色と黄色のウクライナ国旗は消えていた。自治政府や地元議会庁舎はもとより、一部の投票所には、早くもロシア国旗が掲げられ、すでに「ロシア編入」が決まったかのような錯覚を覚えるほどだ。

 シンフェロポリ市内の投票所前で10人に聞いたところ、8人が「ロシア編入」を支持した。「歴史的な祖国であるロシアに戻ることができ、こんなにうれしいことはない」「キエフではロシア語を禁じようとするファシスト(全体主義者)たちが政権を奪った。彼らと一緒にはならない」と理由をあげる。残る2人はコメントを拒否した。

 クリミアは旧ソ連時代の1954年にウクライナに帰属変更されるまではロシア領だったことから、ロシアへの帰属意識を持つ住民は多い。だが、ウクライナ側のテレビ放送は(3月)10日以降遮断され、ロシア側の主張や暫定政権を「ファシスト」と決めつける政治宣伝がクリミアのテレビを支配した。

 しかも、クリミア当局は、世界各国から親ロシア派の「国際監視団」を受け入れ、投票が「公正で正当である」との根拠をつくろうとしている。

 「公正ではない」

 投票のボイコットを決めた少数派の先住民クリミア・タタール人の男性は「議論をする時間もなかった。事実をねじ曲げ、銃で脅かしながら“多数派”と呼ばれる人たちの言うことを聞かせようというのは公正な住民投票ではない」と述べ、「弾圧を受けているのは、ロシア系住民ではなくわれわれだ。まるで選択肢がない全体主義的なソ連時代に逆行しているようだ」と、投票が「強行」されたことに強い不満を示した。(シンフェロポリ=ウクライナ南部 内藤泰朗/SANKEI EXPRESS

 ≪ウクライナ海軍副司令官「戦わざるを得ない事態も」≫

 ウクライナ海軍のゴンチャロフ艦隊副司令官(40)は3月15日、産経新聞社の電話インタビューに応じ、クリミア自治共和国のロシア編入を問う16日の住民投票は「ウクライナ憲法に違反している」と言明し、「平和を望むが、相手の出方によっては戦わざるを得ない事態も想定している」と強調した。

 クリミア半島南端にあるセバストポリ湾の出入り口はロシア黒海艦隊の艦船にふさがれており、ウクライナ海軍の艦船は約2週間にわたり湾内に幽閉された状態だ。副司令官は、そうした艦船の一つ「スラブチチ」内でインタビューに応じた。

 副司令官によると「スラブチチ」には約200人が乗り組んでおり、15日に開いた艦隊幹部会で住民投票を無視することに決めた。「艦隊は海軍の命令に従う。ロシア側の出方によっては最悪の事態も想定している」と述べ、強制的に武装解除しようとするならば、反撃せざるを得ないとの認識を示した。

 さらに「ロシアの大統領がいかに危険な状況を作り出しているのか、世界は知るべきだ」と訴えた。

 自治共和国のセルゲイ・アクショノフ首相(41)は、投票でロシア編入が決まれば「外国軍」となるウクライナ軍を排除する姿勢を示している。

 ウクライナ海軍の艦船は、ロシア側の襲撃に備えて埠頭(ふとう)から少し離れた場所に停泊。この日は、食料や飲料水などを積み込むため一時接岸し、はしごを下ろしたわずかな作業時間中、下船して妻や恋人と抱き合う乗組員の姿が見られた。

 夫を埠頭で待つリリヤさん(38)は「(住民投票の結果が出る)17日以降に攻撃があるのではないかとの噂が飛んでおり、不安だ」と語った。

 クリミアのウクライナ軍では、ロシア側に投降する動きも出ている。

 ロシア黒海艦隊が拠点とするセバストポリはロシア系住民が約9割を占める。投票を前に、すでに結果は明らかだとばかりに、ロシア国旗を手に歩く人たちの姿が目立った。(セバストポリ=ウクライナ南部 内藤泰朗/SANKEI EXPRESS

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