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【ウクライナ情勢】通貨急落、迫る制裁 露経済に暗雲

 ウクライナ問題で欧米と対決姿勢を強めるロシアで通貨ルーブルや株式相場が急落、経済への打撃が広がり始めた。欧米が経済制裁で一層の圧力をかける構えを見せる中、ロシアのプーチン大統領は3月4日、軍事介入やクリミア半島の併合を否定し、対話を探る姿勢を示したが、ウクライナ新政権をめぐる欧米とロシアの綱引きは続いている。

 原油輸入制限か

 「ロシアを孤立させ、経済にマイナスの影響を与える一連の措置を検討している」。オバマ米大統領は3日こう述べ、ウクライナへの介入をやめさせるため経済を標的とする考えを表明した。

 制裁の具体策は明らかにされていないが、米露のメディアは、ロシア産の原油・天然ガスの輸入制限、ロシアの銀行への金融制裁などの可能性を伝えている。またロシア高官らの入国査証(ビザ)発給停止や資産凍結も検討対象とみられる。

 ウクライナの混迷が長びくほどロシア経済はむしばまれるとみる市場関係者は多い。ケリー米国務長官は「こんな行動を起こす国とのビジネスを米企業は考え直すだろう」と語り、資本逃避が今後加速すると警告する。米政府高官は、ロシア経済の打撃はウクライナ介入に伴う「代償」だとして「一部はわれわれが科す制裁だが、(市場の反応など)一部はロシアが自ら招いたものだ」と指摘した。

 過去最安を更新

 ロシアを除く主要国(G8)は2日、ロシア南部ソチで6月に開かれる首脳会議の準備会合参加を当面見送ると発表、首脳会議ボイコットの可能性を示した。米政府は3日、ロシアとの軍事交流や貿易・投資に関する協議の中止を表明した。

 経済制裁を本格化させる場合、ロシアと経済的につながりの強い欧州各国が足並みをそろえて協力できるか予断を許さないが、既に市場の動揺でロシア経済にはマイナスの効果が出ている。

 ロイター通信によると、ルーブルは3日の外国為替市場で一時1ドル=36.6750ルーブルまで下落、過去最安値を更新した。株式市場でもロシア取引システム(RTS)株価指数が急落した。

 危機感を抱いたロシア中央銀行は3日、主要政策金利を5.5%から7.0%にする異例の大幅引き上げを発表。大規模な為替介入にも踏み切ったとみられており「ルーブル防衛」に懸命だ。

 深刻な景気後退

 ロシアは、主要輸出品の原油が高騰した2007年に8%を超える高い経済成長率を記録したが、13年には1%台前半に減速。14年の年初予想は2.5%だが、ロシア政府筋は「下方修正は避けられない。景気は低迷期に入った。『資源頼り』『国営企業頼り』の経済構造を変えられず、投資環境の整備を怠ったつけが回った」と指摘する。

 プーチン大統領は00年の1期目の就任以降、高い原油価格による経済成長に支えられてきた。しかし、今年は初めて深刻な景気後退局面に入ることが確実視されており、経済を担当するメドベージェフ首相に責任を負わせて解任するとのうわさが絶えない。

 ウクライナ介入にはロシア国民の関心を対外問題にそらす思惑があるとの見方もあるが、ブーメランのように制裁がロシア経済に打撃を与える結果となれば、プーチン大統領にとって代償は極めて大きい。(共同/SANKEI EXPRESS

 【取りざたされる対ロシア制裁】

・入国査証(ビザ)発給停止

・ロシアの在外資産凍結

・ロシアの銀行への金融制裁

・ロシア産原油・天然ガス輸入制限

・主要国(G8)首脳会議の資格停止

・20カ国・地域(G20)の資格停止

 【米政府が既に表明した措置】

・ソチG8準備会合参加を見送り

・軍事交流を全面的に中断

・貿易・投資の2国間協議中止

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