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【ウクライナ情勢】板挟み日本 領土交渉見据え「慎重」

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【ウクライナ情勢】板挟み日本 領土交渉見据え「慎重」

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ウクライナの政権崩壊をめぐる主な動き=2014年2月18日~23日  日本政府は、ロシアが軍事介入の構えを見せるウクライナ情勢に関し、先進7カ国(G7)として3月3日発表したロシアへの非難声明に参加、欧米と足並みをそろえた。

 ただ、プーチン大統領との個人的な信頼関係を醸成しつつある安倍晋三首相は3日、「平和的手段による解決を強く期待する」と抑制的な発言にとどめ、好転の兆しがある北方領土問題交渉の頓挫を避けたい思いをにじませた。

 首相は3日の参院予算委員会で「平和的解決」を求めた上で、「すべての当事者が自制と責任をもって慎重に行動し、関連国際法を完全に順守すること、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重することを強く求める」と述べた。

 岸田文雄外相も2日の談話で言及した「すべての当事者が自制と責任をもって慎重に行動」の部分は、米主導によるG7声明に日本の提案で盛り込まれた。一方、首相発言にはG7声明で打ち出した「非難」がない上、岸田氏の談話にあった「深刻な懸念と憂慮」との表現もなく、ロシアへの配慮は明らかだ。

 首相はすでに5回、プーチン氏と会談し、今秋の訪日も約束した。予算委では「首脳同士の信頼関係をテコに何とか平和条約締結に向けて交渉を加速化させたい」と強調。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は記者会見で、4月にロシアで開かれる主要国(G8)外相会合に合わせた日露外相会談と「貿易経済日露政府間委員会」の開催に「変更はない」と述べた。

 だが、G7声明に沿い、6月にロシア・ソチで開催予定のG8首脳会議に向けた準備会合は当面見送られる。岸田氏は近くケリー米国務長官と電話で対応を協議する予定だが、ロシアと欧米の対立が激化すれば日露関係への影響は必至で、ある閣僚は「今後の日本政府の対応は非常に難しくなる」と懸念を示している。

 ≪G7・EUが非難声明 G8準備会合参加を見合わせ≫

 日米欧の先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)は3月2日、ロシアがウクライナの主権と領土的統一を「明確に侵害した」と非難する声明を発表し、6月にロシア南部ソチで予定される主要国(G8)首脳会議の準備会合への参加を当面見合わせると表明した。

 声明はロシアに対し、ウクライナ暫定政権との直接交渉や国際監視団などを通じ、安全保障や人権上の懸念に平和的な方法で対処するよう求めた。G7の財務相も3日、「ウクライナに対し強力な金融支援を提供することに結束してコミットしている」とする共同声明を発表した。

 ドイツのメルケル首相は2日、ウクライナ情勢をめぐりロシアのプーチン大統領と電話会談した。独政府報道官によると、メルケル氏は事態沈静化のため、欧州安保協力機構(OSCE)などが主導する調査団のウクライナ派遣や連絡グループの設立などを提案し、プーチン氏も受け入れたという。EUは3日、対応を協議するため臨時の外相理事会をブリュッセルで開催する。

 一方、米政府高官は2日、ロシアがウクライナ南部クリミア半島に6000人以上の部隊を派兵し、半島を「完全に実効支配下に置いている」との見解を示した。ロシアがクリミア以外の地域に部隊を移動させる可能性にも言及し、ロシア軍の動向を注視する方針を示した。記者団に語った。高官はまた、米政府のウクライナ情勢への今後の対応について、「現在は軍事介入の領域ではなく、政治的、経済的、外交的な選択肢に絞っている」と話し、現時点では軍事介入を視野に入れていないことを強調した。

 米国務省は2日、ケリー国務長官がウクライナの首都キエフを4日に訪問し、暫定政権の代表者らと会談すると発表した。

 インタファクス通信によると、ウクライナ海軍トップのベレゾフスキー総司令官が2日、親ロシアのクリミア自治共和国に忠誠を表明した。ウクライナ暫定政権はベレゾフスキー氏を解任した。(ワシントン 小雲規生、ベルリン 宮下日出男/SANKEI EXPRESS

 ≪パラ五輪委「平和的解決を希望」≫

 ソチ冬季パラリンピック(3月7日開幕)を主催する国際パラリンピック委員会(IPC)は3月3日、ロシアの軍事介入の動きで緊迫化するウクライナ情勢について「五輪停戦の理念で平和的に解決されることを希望する」との声明を発表した。

 ソチはクリミア半島と同じ黒海に面する。ウクライナはパラリンピックに20人以上の選手が参加予定。2010年バンクーバー大会では金メダル5個を含む19個のメダルを獲得した。

 一方、英国のキャメロン首相は2日、短文投稿サイト、ツイッターで、「ウクライナの深刻な状況に照らせば、英政府が閣僚を送ることはできない」と述べ、7日(日本時間8日)に開幕するソチ冬季パラリンピックの式典などに政府代表者を出席させない意向を示した。2012年の五輪開催国である英国では、パラリンピックへの関心も高いが、キャメロン氏はウクライナへの軍事介入姿勢を崩していないロシアへの抗議を強めた。選手らの競技参加に影響はないとみられる。(共同/SANKEI EXPRESS

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