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ウクライナ EUに連合協定の締結要請 欧露綱引き 冷戦さながら東西対立

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ウクライナ EUに連合協定の締結要請 欧露綱引き 冷戦さながら東西対立

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ウクライナの政権崩壊をめぐる主な動き=2014年2月18日~23日  ウクライナ最高会議(議会)によると、ビクトル・ヤヌコビッチ政権崩壊により大統領代行に任命されたアレクサンドル・トゥルチノフ議長(49)は2月24日、首都キエフを訪れた欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン外交安全保障上級代表と会談し、EUとの関係を強化する連合協定をすぐに締結するよう求めた。

 トゥルチノフ氏は、欧州統合路線を進め、EUの支援を受けることが「ウクライナが安定して民主的に発展するために重要だ」と強調。アシュトン氏はウクライナ支援の用意があると表明したという。連合協定はヤヌコビッチ政権が昨年(2013年)11月に締結を棚上げし、反政権デモの引き金となった。

 一方、政変で首都キエフを事実上追われたヤヌコビッチ氏に代わる大統領を選出する前倒し大統領選挙の立候補者受け付けが25日、始まった。

 3月30日まで受け付け、5月25日に投開票される。今回の政変を主導した反ヤヌコビッチ政権側3党の党首らが出馬に意欲を示しているほか、ヤヌコビッチ政権時代の与党、地域党からは東部ハリコフ州のドプキン知事が24日夜、出馬する意向を明らかにした。

 また、トゥルチノフ氏は新政府の樹立について、27日には「決定されなければならない」と述べ、25日中の各党による合意達成を断念した。

 デモ参加者を殺害した容疑で指名手配されたヤヌコビッチ氏の所在は不明だ。ヤヌコビッチ氏の側近は24日、ヤヌコビッチ氏は国内にいると説明したが、根拠は示さなかった。(SANKEI EXPRESS (動画))

 ≪欧露綱引き 冷戦さながら東西対立≫

 ウクライナで起きた政権崩壊は、この国をめぐる欧米とロシアの歴史的な綱引きが今も続いている現実を浮かび上がらせた。旧ソ連を構成したウクライナの地政学的な重みから手を引けない欧米とロシア。冷戦さながらの東西対立がウクライナにのしかかり、国家分裂やデフォルト(債務不履行)の危機をはらんだ混迷に拍車を掛ける。

 敵意

 「武装反乱によって生まれた政権は正統か」と批判するロシア。「強く支持する」と歓迎した欧米。ウクライナのヤヌコビッチ政権の瓦解は対照的な反応を呼んだ。

 ロシア外務省は2月24日の声明で、欧米非難のトーンをさらに上げ「西側の国々はウクライナの将来を気遣うことなく、一方的な地政学上の計算で動いている」と敵意をむき出しにした。

 バラク・オバマ米大統領(52)は「冷戦時代のようなチェス盤でロシアと競争しているわけではない」と語る。しかし米共和党のマケイン上院議員は「(ロシアの)プーチン大統領がたくらむのはロシア帝国の再建だ」と指摘、疑似冷戦の現実を直視すべきだと訴える。

 翻弄

 肥沃な黒土地帯。欧州とロシアの間にあり黒海に面する。人口は4500万と東欧地域で最大。ウクライナは東西のはざまで翻弄されてきた。「われわれは欧州かロシアか」という果てることなき自問が、数々の政変に通底している。

 昨年(2013年)11月にEUとの関係強化路線を棚上げし、野党勢力の反発を招いた親ロシアのヤヌコビッチ政権の崩壊は欧米が望んでいた展開だ。ただ、ウクライナで親欧米政権を誕生させた2004年の「オレンジ革命」が、その後の混乱で頓挫した教訓から、楽観論は聞かれない。

 ロシアとの対立にまた新しい章が始まることだけがはっきりしている。国内が親欧州の西部と親ロシアの東部や南部に色分けされるウクライナは財政危機にひんしている。東西ドイツのような国家分裂やデフォルトを回避しながら、安定した民主的体制を根付かせるのは容易ではない。その鍵を握るのも欧米ではなくロシアだ。

 温度差

 欧米はウクライナの親ロシア地域へのロシアの介入も警戒している。ライス米大統領補佐官は「深刻な過ちになる」とロシアを強く牽制(けんせい)した。

 ロシアはウクライナ南部クリミア半島に黒海艦隊の基地を置く。英誌エコノミストは、市民の要請といった名目でロシア軍がクリミア周辺に展開する可能性に触れ「ウクライナが一体化を保つ上で最も危ないのはロシアがつけ込むことだ」と指摘した。

 米識者の間にはロシアを縛るため、主要国(G8)からの除外をちらつかせるといった強硬論が出ている。しかしロシアとの経済関係がより密接なEU諸国は米国と温度差がある。オバマ政権も米露関係をさらに冷え込ませた場合の代償をてんびんにかけ、難しい綱渡りを強いられる。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))

 ■オレンジ革命 2004年11月のウクライナ大統領選決選投票で、当時首相だった親ロシアのビクトル・ヤヌコビッチ氏が勝利した。しかし、親欧米のビクトル・ユーシェンコ氏率いる野党側はヤヌコビッチ氏側の不正を指摘、政府機関を封鎖するなど大規模な抗議行動を展開した。最高裁は不正を認め、決選投票を無効と判断。12月のやり直し投票でユーシェンコ氏が勝利し、野党のシンボルカラーにちなみ「オレンジ革命」と呼ばれた。(共同)

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