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【ウクライナ情勢】政権崩壊へ 東西分断の危機 元首相、大統領選出馬に意欲

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【ウクライナ情勢】政権崩壊へ 東西分断の危機 元首相、大統領選出馬に意欲

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ウクライナ・首都キエフ  反政権デモを続けていたウクライナの野党勢力は2月22日、首都キエフの大統領府や最高会議(議会)庁舎など中枢を掌握し、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領(63)は自らの支持基盤である東部ハリコフに移動した。議会は大統領解任を決議し、大統領選を5月25日に前倒し実施することも決定、政権は事実上の崩壊状態に陥った。一方、22日に釈放された大統領の政敵で最大野党「祖国」有力者であるユリア・ティモシェンコ元首相(53)はキエフの独立広場での演説で「私は仕事に戻る」と宣言。大統領選出馬などに意欲を示したが、かつての熱狂的な国民の支持は見られず、ウクライナは国家分断の危機に直面している。

 「英雄は死なない」

 収監先のハリコフで釈放されたティモシェンコ氏は、早速キエフに飛び、空港では記者団に対し、「ウクライナは近く欧州連合(EU)に加盟する」と断言。独立広場に直行すると、「ヤヌコビッチと取り巻きのくず連中を独立広場に引きずり出し、断罪しなくてはならない」と演説し、宿敵への復讐心をむき出しにした。さらに「(反政府デモで)広場に立った人、殺された人は英雄だ。英雄は決して死なない」などと語った。

 独立広場を舞台に親欧米政権を誕生させた2004年の「オレンジ革命」を主導したティモシェンコ氏にとって、独立広場は“聖地”だ。約5万人の聴衆の一部からは「ユリア、ユリア」の連呼も聞かれた。しかし、オレンジ革命後の政治混乱を経験した聴衆の反応は複雑で、拍手も少なく、往年の人気の衰えは明白だった。ティモシェンコ氏は政権抗争が激化する中で11年、ロシアとの天然ガス取引をめぐる職権乱用容疑で逮捕され禁錮7年の実刑判決を受けた。

 大統領、出国拒まれる

 一方、ヤヌコビッチ氏は22日、ハリコフの地元テレビのインタビューで、一連の事態を「クーデターだ」と非難し、辞任を拒否した。露紙コメルサントは、ヤヌコビッチ氏が東部ドネツクからチャーター機で出国しようとしたが、書類不備で国境警備隊に阻まれたと伝えた。

 キエフでは反政権デモ隊と治安部隊の衝突が(2月)18日に再燃し、ヤヌコビッチ氏と野党3党の代表者が21日、政治危機打開に向けて合意文書に署名したが、デモ隊は反発してキエフの政府庁舎などを占拠した。保健省によると、(2月)18日から20日までの衝突の死者は82人となった。

 中央権力が空洞化した中、国家が東西で分断される懸念も出ている。ウクライナは常に東西の地域対立という国内問題を抱えているからだ。国を二分するドニエプル川の東部は長くロシア帝国の保護下に置かれ、多くのロシア系住民が暮らすが、西部は欧州統合派とカトリック教徒が多く、第二次大戦時に旧ソ連軍が進駐するまではオーストリア・ハンガリー帝国やポーランドの支配下にあった。東部にはロシアの黒海艦隊基地や軍事産業、宇宙産業の拠点がありロシアはあらゆる手段を講じてでも、東部が欧州側にわたることだけは防ぎにくるとみられる。

 EUのキャサリン・アシュトン外交安全保障上級代表(57)は22日、声明を出し、国家の統一維持、領土保全のため責任ある行動を取るようウクライナ国民に呼び掛けた。全国民的支持を受けるカリスマ政治家の出現が待望されている。(SANKEI EXPRESS (動画))

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