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【ウクライナ情勢】ソ連再興 プーチン氏の怨念 露、ウクライナ軍事介入承認

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【ウクライナ情勢】ソ連再興 プーチン氏の怨念 露、ウクライナ軍事介入承認

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ウクライナの政権崩壊をめぐる主な動き=2014年2月18日~23日  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)は3月1日、ロシア系住民の保護を理由に、ウクライナへのロシア軍投入の承認を上院に求め、上院は全会一致で同意した。また、プーチン氏は1日、バラク・オバマ米大統領(52)と電話会談し、ウクライナ南部クリミア半島だけでなく親露派住民が多い東部への派兵も示唆。これに対してウクライナの暫定政権は2日朝から、予備役の招集を開始して高度な戦闘態勢を取るよう指示、緊張が高まっている。プーチン氏は、欧米諸国との激しい対立を覚悟で危険な勝負に出ようとしているが、その背景には、プーチン氏が抱く“怨念”が透けて見える。

 オバマ氏は1時間半にわたる電話会談で、ロシアが「ウクライナの主権と領土的統一を明らかに侵害している」と、深い懸念を伝達。ロシア軍をクリミア半島の基地に撤収させるよう要求した。欧米メディアは、ロシア兵とみられる集団がすでにクリミア半島を支配下に置いたとの見方を伝えているが、ロシア政府は否定している。

 プーチン氏が威信をかけて開催したソチ冬季五輪の閉幕間際、ウクライナの政変で親露派の政権が崩壊する事態が起きたのは皮肉というほかない。そして、プーチン氏が過去に発言した2つの有名な言い回しが、その怨念渦巻く思考回路を理解する助けになるかもしれない。

 失ったもの取り戻す

 まず、「ソ連崩壊は20世紀最大の地政学的悲劇だった」という言葉だ。ソ連再興にかけるプーチン氏の決意を示すと考えられているが、ソ連崩壊に伴い、2000万人とされるロシア系住民がロシア国境の外に取り残されたことを念頭に置いてもいた。

 ウクライナ南部クリミア自治共和国を念頭に、「ロシア系住民の保護」という“大義”を掲げて介入姿勢を強めるプーチン氏には、ソ連崩壊で失ったものを取り戻す意志がうかがえる。

 もともとクリミア半島の住民は約6割がロシア系だが、ソ連時代の1954年に帰属がロシア共和国からウクライナ共和国に替わった経緯がある。ソ連崩壊による91年のウクライナ独立後には、地元ではロシア復帰を望む声もあったが、ロシアのエリツィン政権は、ともにキエフ大公国を祖とする「東スラブの兄弟国への友情の証し」として、黒海艦隊の駐留継続を条件に半島をウクライナ領と認めた。プーチン氏にとっては、そのウクライナが欧州連合側に付くことは、友情をあだで返す行為にしか見えないのである。

 「緩衝地帯」に執着

 冷徹な現実主義者としても知られるプーチン氏には、「ソ連崩壊を悔やまぬ者には心がなく、かつての形のソ連復活を望む者には頭がない」という言葉もある。この言葉に沿えば、プーチン氏が主唱している「ユーラシア連合」はいわば、旧ソ連諸国を現代流に経済統合する組織といえ、旧ソ連構成国で第2の大国であるウクライナ抜きの連合体では経済効果も存在感も乏しい。

 プーチン氏はソ連崩壊後のエリツィン時代に弱体化したロシアを再興し、大国として復活させることを自らの使命と自任してきた。その際、世界を帝国主義的な「勢力圏」の単位でとらえ、ロシアが枢軸の一つでなければならないと考える。さらに、「国境から離れた所に200%の安全保障を求める」とも揶揄(やゆ)されるソ連的な安保観を引きずるプーチン氏は、欧州との間に「緩衝地帯」を残しておきたいという執着があるのも確実だ。2008年に戦火を交えたグルジアと異なり、自国の安全という観点からウクライナが死活的に重要だと考えていることも間違いない。(SANKEI EXPRESS

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