SankeiBiz for mobile

ロシア孤立化へ兵糧攻め持久戦 経済制裁検討も欧州内に温度差

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

ロシア孤立化へ兵糧攻め持久戦 経済制裁検討も欧州内に温度差

更新

ウクライナの政権崩壊をめぐる主な動き=2014年2月18日~23日  ロシア軍によるウクライナ南部クリミア自治共和国の掌握が着々と進むなか、米国と欧州連合(EU)はロシアに対する経済制裁を発動する構えだ。軍事衝突だけは何としても回避したいなか、兵糧攻めによる持久戦でロシアを孤立させ、経済的窮地に追い込む戦略だ。だが、ロシアは欧米の撤収要求にもまったく聞く耳を持たず、兵員を増派しクリミア駐留のウクライナ軍司令部などを包囲し投降を迫るなど実効支配を固めつつある。欧州内には経済制裁への温度差もあり、暴走を止める決め手とはなり得ないのが実情だ。

 静かな侵攻で半島掌握

 「現段階で、軍事行動の必要はない」。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)は3月4日の記者会見で、武力衝突なきクリミア半島の掌握に自信を示した。自治共和国を併合する可能性について「その必要はない」と否定したが、半島は事実上その支配下に置かれている。

 ロイター通信によると、ウクライナの国境警備当局者は、4日未明までにロシア軍がクリミア半島東端のケルチ海峡の対岸からフェリーを使って兵員の増派を始めたと明らかにした。半島のセバストポリでは、ウクライナ海軍の司令部がロシア軍部隊や親露派自警団に包囲され、投降を迫られている。港内では配下の軍艦2隻がロシア側船舶によって封鎖された。

 貿易や投資の停止も

 静かな侵攻に対し、米国とEUは米欧は経済・外交制裁で対抗するしかない。「約1万6000人が投入された」(ウクライナのセルゲイエフ国連大使)というロシア軍を軍事的手段で排除するのはもはや不可能だ。

 バラク・オバマ米大統領(52)は3日、「ロシアを孤立させ、国際的地位にマイナス影響を与える経済的、外交的な措置を検討している」と表明した。米メディアによると、ロシアとの貿易や投資の停止のほか、ロシア政府高官の渡航禁止や資産凍結なども検討されているという。

 EUも3日の緊急外相理事会で、制裁の検討に入ると警告する声明を採択。ビザ(査証)なし渡航交渉などEU・ロシア間のさまざまな協議を停止すると明記した。

 動じる気配なし

 制裁による打撃を懸念し、ロシアの通貨ルーブルは3日の外国為替市場で一時1ドル=36.6750ルーブルまで下落し史上最安値を更新。株式市場も全面安の展開となった。

 だが、ロイター通信によると、ロシア高官が、制裁が発動されれば外貨準備から米ドルを外すなどの対抗措置を取ると表明するなど動じる気配はない。

 ウクライナを挟んでロシアと対峙するEU内には、制裁への温度差もある。旧ソ連の支配圏にあった東欧や旧ソ連から独立したバルト三国はウクライナとの連帯感が強く、ロシアへの強硬措置を主張。これに対し、貿易や投資額が大きい英仏独の主要国は慎重とされる。特に冷戦下で東西分断されたドイツはロシアと過度に敵対しない政策を伝統的に重視しており、「遠い所にある米国とは違う」(ドイツ外交官)と距離を置く。

 オバマ大統領も制裁が決め手とならないことは十分に承知している。記者団に制裁の効果を尋ねられるとこう答えるしかなかった。

 「時間がたつにつれ、(軍事介入は)ロシアにとって高くつく決断だったということが分かるだろう」(SANKEI EXPRESS

ランキング