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ウクライナ経済なぜ悪化したのか 先が見えず…危機的状況

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ウクライナ経済なぜ悪化したのか 先が見えず…危機的状況

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ウクライナ・ドネツク  【国際情勢分析】

 親欧米派政権が登場したものの、混迷を続けるウクライナ。その混迷の最大の要因の一つは、危機的状況にある経済だ。欧州を代表する穀倉地帯で、約4600万人の人口規模を持つウクライナだが、その経済はなぜ世界各国の支援なしでは立ちゆかなくなるほど悪化したのか。

 対外債務はGDPの8割

 「ウクライナの財政はデフォルト(債務不履行)寸前の状態だ」

 ビクトル・ヤヌコビッチ前大統領(63)が追放され、大統領代行に就任したアレクサンドル・トゥルチノフ氏(49)は2月25日、演説でそう語り、ウクライナ経済が破綻寸前の状況であることを隠さなかった。

 (2月)27日配信のインタファクス通信によると、新たに発足した暫定政権は、ウクライナの対外債務が国内総生産(GDP)の8割に当たる1400億ドル(約14兆円)に上ることを明らかにした。

 ウクライナは1991年に独立を宣言。しかし市場経済への移行は遅れ、ウクライナは鉄鋼や機械生産などの産業が発展していたが、主な供給先はソ連圏内だったため、ソ連崩壊に伴う国家間の流通分断で大打撃を受けた。

 経済は鉄鋼価格の国際的な上昇を受け、2000年にようやくプラス成長に転じた。04年の「オレンジ革命」で親欧米派による政権奪取が実現すると、外資系銀行などの参入が加速し、住宅や自動車ローンが普及して経済はバブル状態になった。

 改革の遅れで融資中断

 しかしバブルの要因は、ウクライナが自国通貨フリブナを事実上対ドルで固定していたため、為替リスクがなく人々が多額の外貨建てローンを借り入れたり、投機的資金が大量に流入したことにあった。08年のリーマン・ショックで資本が一気に引き揚げ、通貨が下落すると経済は大混乱に陥り、09年の経済成長率はマイナス14.4%となった。

 これにより、ウクライナは国際通貨基金(IMF)に特別融資を要請せざるを得なくなる。IMFは10年、153億ドルの融資枠を承認したが、ウクライナの経済改革の遅れを受けて融資は中断されている。IMFが要請した改革は、一般向けガス価格を輸入価格並みに引き上げ、政府がガス会社に支払う損失補填(ほてん)を廃止することなどだ。しかし国民の負担増にも直結するため、政権は難色を示した。

 ガス価格はウクライナ経済の波乱要因だ。オレンジ革命後の親欧米派政権の発足は、ロシアが供給するガス価格の上昇を招く。

 これは、価格を他の欧州諸国向けと同じレベルにするというものだったが、鉄鋼が主力産業のウクライナ経済には大打撃となった。主力の鉄鋼産業は古い生産方法を改められないままで、効率の悪さが指摘されている。

 非効率、汚職体質も障壁

 加えて、ウクライナ経済の汚職体質が指摘されている。世界銀行は2012年の報告書で、ウクライナの投資環境を対象183カ国中152位とした。公共部門の効率性の悪さや、官公庁の汚職の蔓延(まんえん)などが要因とされる。

 そのため欧米各国には、ウクライナの体制が変換しても、経済改革を実現できるのかという疑念が拭えない。米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は2月24日、ウクライナに改革を求める米国のジャック・ルー財務長官(58)が「ウクライナは、自国の経済を動かすための改革を実施するという意思が必要だ」と語ったことを踏まえ、「数カ月にわたった政治的対立の後、米国政府は、ウクライナへの関与が長期的な政治的配当を保証するものかを見定めたいのだ」と断じた。

 予想される欧米やIMFの支援は、ウクライナの経済危機を抜本的に回避する効果は持たず、ウクライナ国内でも支援の条件になる緊縮策に反発が起きるのは必至だ。ロシアとの関係が最悪となるなか、ウクライナ経済の先行きは依然として厳しい。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS

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