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【ウクライナ情勢】タタール系、露軍介入に静かな反発

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【ウクライナ情勢】タタール系、露軍介入に静かな反発

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ウクライナの政権崩壊をめぐる主な動き=2014年2月18日~23日  ウクライナ南部クリミア自治共和国の議会前で、多数派のロシア系住民とイスラム教徒のタタール系が数千人規模のデモ合戦を展開したのは約1週間前。だが、間もなくロシア部隊とみられる勢力が議会などを占拠し、タタール系は影を潜めた感がある。「軍事介入が本格化すれば少数派の私たちが攻撃対象になる」。親欧米派の暫定政権を支持するタタール系は、そんな不安を抱きながらロシアの介入に静かに反発している。

 自治共和国の中心都市シンフェロポリでは連日、クリミア半島の掌握を進めるロシアを歓迎するロシア系のデモが行われているが、タタール系は市内の主要モスク(イスラム礼拝堂)でもあまり見かけない。

 「ロシアが(ロシア系住民の保護という)軍事介入の名目を正当化するため、私たちを悪者にする挑発行為に出ることを恐れている」。タタール系住民組織の幹部、ジェリャロフ氏(34)はこう話した。「今は『行動なき行動』が基本方針」だという。

 クリミア・タタール人の名称でも知られるタタール系はクリミア半島のいわば固有民族。帝政ロシアが1783年に半島を併合したのに伴い、ロシア革命後はソ連の一民族となった。第二次大戦期に「対独協力」の嫌疑をかけられ、民族のほぼ全体が中央アジアなどに強制移住させられ、現在の住民の多くはソ連末期以降に帰還を果たした。

 だが、かつての生活の地にはすでにロシア系が入植しており、生活再建は過酷をきわめた。現在の自治共和国では人口約200万人のうちロシア系が約60%、タタール系は約15%だ。

 「私たちは強制移住で喪失した経済的・文化的権利の回復を訴える立場から、ウクライナの欧州統合路線を支持する。人権を順守しないロシアでなく、欧州の価値観が必要だからだ」。こう話すジェリャロフ氏は「武装勢力が議会を占拠する状況で不透明に選出された現在の自治共和国政府は非合法だ。ロシアが軍事介入をやめなければ国際秩序が崩壊する」と指摘した。(シンフェロポリ 遠藤良介/SANKEI EXPRESS

 ≪「クリミアを諦めない」 キエフで志願兵相次ぐ≫

 ウクライナ南部のクリミア半島で、ロシア黒海艦隊の部隊がウクライナ軍部隊に降伏するよう最後通告を突きつけたとの報道は、ウクライナの首都キエフにさらなる緊張と不安をもたらした。黒海艦隊当局者は報道を否定したが、キエフでは志願兵への登録が相次ぐなど、国民の防衛意識が急速に高まっている。

 かつてない雰囲気

 「ウクライナがクリミアを手放すことはない」

 ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相は3月3日、キエフでの記者会見でこう述べ、ロシアの特殊部隊が事実上、掌握しているクリミア半島をウクライナが諦めることは決してないことを明確に示した。

 ロシア軍が圧力を強める中、キエフのウクライナ国防省には志願兵に登録しようと、若者から中高年までが続々と詰めかけた。ロシア系住民が多い南部や東部からも志願者が後を絶たないといい、国防省報道官は「これほどの愛国的な雰囲気はかつてない」と明言した。

 キエフ大学に通う女子大生のアリョーナさん(20)は「クリミアはウクライナの領土。母なる大地を守るために戦う」と語り、男子学生のアンドリイさん(23)も「侵略者が勝てた戦争はない。どんなに長く苦しい戦いでもパルチザン闘争に持ち込み、必ず勝利する」と力を込めた。

 急を告げるロシア軍の動きに、ウクライナでは、正規軍だけでは対応できないとして、有志を募って軍備を購入し、愛国団体による市民防衛隊を結成しようという声も上がっている。

 「露は地獄の扉開く」

 一方、そうした隣国との戦争ムードに不安を抱いているのは、ロシア出身の住民らだ。ウクライナ人の夫を持つナタリアさん(25)は、ウクライナでロシア系住民が差別を受けたり、暴行されたりすることはないと、ロシアの家族に電話でいくら説明しても理解してもらえないと嘆く。

 キエフ中心部で3カ月間にわたって反政権デモを続けたビジネスマンのオレグさん(49)は、「クリミアが簡単におちると判断したプーチン(露大統領)は大きな過ちを犯した。ロシアは自ら地獄への扉を開くことになるだろう」と語った。(キエフ 内藤泰朗/SANKEI EXPRESS

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