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【ウクライナ情勢】米大統領、露に制裁発動を伝達 クリミア分離認めず「住民投票」非難
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バラク・オバマ米大統領(52)は3月6日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)と約1時間、電話で会談し、ウクライナの主権と領土統一を侵害する政府関係者らへの資産凍結などを含む制裁を発動したことを伝え、「ウクライナの主権と領土保全の侵害は、欧米の協調によるさまざまな措置を招く」と警告。欧州連合(EU)も制裁措置を決めた。これに対し、ロシアは報復措置の検討に入った。
オバマ大統領は6日、ホワイトハウスで声明を読み上げ、クリミア自治共和国のロシア編入を問う住民投票は、「ウクライナ憲法と国際法に違反する」と非難した。「ウクライナの将来に関するいかなる議論にも、ウクライナの正統政府(暫定政権)が含まれなければならない」とし、クリミアの一方的な分離は認められないとの見解を強調。ロシアの対応次第では今後、追加制裁を辞さない構えも示唆した。
ロシアがクリミア半島の実効支配を強めてから2度目となる首脳会談で、オバマ大統領はウクライナ暫定政権との直接対話や、ロシア軍のクリミア自治共和国からの撤退を改めて要求。
これに対し、プーチン大統領は「米露関係は世界の安定と安全保障にとり重要であり、ウクライナ問題をめぐる違いで損なわれるべきではない」と、米国による制裁を批判した。ロシア大統領府が明らかにした。
EUも6日の臨時首脳会議で対抗措置を決定。ロシアが数日以内に暫定政権との直接協議を始めない場合には、資産凍結などの制裁を発動すると警告した。EUの措置は3段階からなり、査証(ビザ)免除などに関する新協定の交渉を凍結してもロシアと暫定政権の交渉が実現しなければ、段階的に内容を引き上げていくことにしている。
さらに、EUはクリミアのロシア編入の是非を問う住民投票の実施計画を「ウクライナ憲法に反し、不法だ」と非難した。ロシア上院は国内の欧米企業の資産没収などを可能とする法案の準備を開始。露外務省も「(米欧の)制裁に対抗する」との声明を出した。(ワシントン 青木伸行、ベルリン 宮下日出男、モスクワ 佐々木正明/SANKEI EXPRESS)
≪対露政策に温度差 領土問題絡み日本は静観≫
安倍晋三首相(59)は3月7日、緊迫するウクライナ情勢をめぐり、米国のオバマ大統領と電話会談し、ウクライナへの経済支援などで連携することを確認した。ただ、オバマ氏はロシアに対する制裁を発動しているが、首相は事態の推移を当面見守る構えで、対露政策で温度差も広がっている。
電話会談は約40分間行われ、首相は「ウクライナ情勢改善のため、オバマ氏の努力を支持している」と表明。ウクライナでのロシアの行動を非難した先進7カ国(G7)の共同声明の重要性も確認した。
首相にとって悩ましいのは、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を制圧したことに対し、欧米が制裁の動きを強めていることだ。オバマ氏は6日、「ウクライナの主権や領土の一体性」を脅かす人物や団体に対し、資産凍結や入国制限を行う大統領令を発動。EUも6日の臨時首脳会議で、ロシアへの段階的な制裁を決めた。
しかし日本が対露制裁に踏み切る可能性について、岸田文雄外相(56)は7日の記者会見で「ウクライナ情勢の推移や各国の動きを勘案しながら適切に対応する」と述べるにとどめた。外相が4月下旬、モスクワでセルゲイ・ラブロフ外相(63)と会談する予定も「現状では変更ない」と強調した。政府は19日、経済産業省などが主催する「日露投資フォーラム」も予定通り都内で開く方針だ。
政府関係者は「日露は良好な首脳関係に支えられ、秋にプーチン氏の来日も決まった。領土問題に絡む外交日程も多く、圧力一辺倒とはいかない」と指摘。ただ「ロシアの動きは明らかに国際法違反で、欧米の圧力路線に同調せざるを得ない」とも語る。
16日にはクリミア自治共和国で住民投票が行われ、ロシアへの編入賛成が多数となる見込み。欧米の対露圧力はさらに強まりそうだ。首相は24日からオランダ・ハーグで開かれる核安全保障サミットに出席する予定のため、各国首脳との個別会談などで、日本の明確な態度表明を迫られる可能性もある。(SANKEI EXPRESS)
■米国による制裁
・ウクライナの主権と領土統一を侵害する政府関係者と個人の査証(ビザ)発給停止、米国への渡航禁止
・該当する個人や機関が米国内に持つ資産凍結
・新たな介入に出た場合、追加措置を検討
■EU(欧州連合)が決めた措置
・ビザ免除や経済に関する新協定の交渉凍結
■EU(欧州連合)が検討する制裁
・ウクライナ暫定政府と数日内に協議しなければ、関係者の渡航禁止や資産凍結、首脳会議中止
・情勢をさらに不安定化させれば、幅広い経済分野での措置