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【クリミア併合】クリミアで露軍襲撃 ウクライナ首相「軍事段階に入った」

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【クリミア併合】クリミアで露軍襲撃 ウクライナ首相「軍事段階に入った」

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 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)は3月18日、モスクワのクレムリン(大統領府)での演説で、ウクライナ南部クリミア自治共和国と特別市セバストポリのロシア連邦への併合を宣言した。ロシアによる外国領の併合はソ連崩壊後初めて。

 また、セバストポリにあるウクライナ海軍司令部が19日、親露派勢力に占拠されたほか、自治共和国の中心都市シンフェロポリにあるウクライナ軍施設も18日、ロシア軍とみられる部隊に襲撃されてウクライナ兵1人が死亡するなど、軍事的緊張が高まっている。

 ロシアがクリミアに介入して以降、衝突で死者が出るのは初めて。ウクライナ暫定政権側は「クリミア問題は軍事段階に入った」(アルセニー・ヤツェニュク首相)と声明を発表し、クリミアのウクライナ軍に対し自衛目的の武器使用を許可。国防当局は19日、ウクライナ軍のクリミア駐留を続けると表明した。

 その一方で、ロシアのインタファクス通信は18日、クリミア警察当局の話として親露派の「自警団」にも死者が出たと伝えている。

 ロシアへの編入が決まったクリミアでは、ウクライナ軍施設などを接収する動きが活発化するとみられ、大規模衝突に発展しかねない状況にある。

 プーチン大統領は、現地での住民投票を受け、セバストポリを含む「クリミア共和国」を「独立国」として承認。演説で「クリミアは歴史的、文化的にロシアの不可分の一部だ」と強調した。プーチン氏は演説後、自治共和国のセルゲイ・アクショノフ首相(41)との間で、クリミアをロシア連邦の構成体とする条約に署名。ロシア憲法裁判所は19日、同条約を合憲と判断した。今後、露上下両院での批准などを経て、併合が正式決定される。(シンフェロポリ=ウクライナ南部 内藤泰朗/SANKEI EXPRESS

 ≪周辺諸国 親露派の「ドミノ」警戒≫

 ロシアがウクライナ南部クリミア自治共和国の併合を決めた問題について、旧ソ連諸国は警戒心をもって受け止めている。多数のロシア系住民を抱えており、中央政権の統治が及ばない親露派地域も存在するためだ。クリミアと同様、ロシアが「ロシア系住民の保護」を掲げて介入したり、親露派地域がロシアへの編入を求めたりする事態を周辺諸国は恐れている。

 沿ドニエストルで編入動き

 ロシアのクリミア併合が旧ソ連地域で「ドミノ現象」を引き起こす兆候はすでに表れている。モルドバの親露分離派地域・沿ドニエストルの議会は3月19日までに、ロシアへの編入を容易にする法改正を求める書簡を露下院に送った。併合に先立ち、露下院で手続きの簡素化に関する議論があったのに乗じたものだ。

 沿ドニエストルの議会はソ連末期の1991年に独立宣言を採択した。ロシア語が公用語とされ、2006年の住民投票では97%がロシアへの編入に賛成した。モルドバのニコラエ・ティモフティ大統領(65)は18日、沿ドニエストル議会の動きを「非生産的だ」と批判、ロシアが併合に動くことは「大きな誤りだ」と述べた。

 グルジアのアブハジア自治共和国と南オセチア自治州も親露分離派の地域だ。ロシアは08年のグルジア紛争後、両地域の独立を承認して事実上の支配下に入れており、クリミアと同様に実際に併合に踏み切る可能性もある。

 「主権侵害」には敏感

 旧ソ連圏でグルジアの2地域の独立を承認した国はロシアしかない。これは、旧ソ連諸国には現在も多くのロシア系住民が暮らしていることと関係している。

 ロシアと関税同盟を組むカザフスタンやベラルーシでさえも、ロシアのクリミア介入への態度表明は避けてきた。カザフは人口の4分の1がロシア系で、国民の大半がロシア語を使用。他方で中国や欧米との経済関係も重視しているデリケートな事情がある。ベラルーシの独裁者、ルカシェンコ大統領も「主権侵害」には敏感だ。

 ロシアへの接近路線を強めていたキルギスの外務省は(3月)11日、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ前大統領(63)は「正統でない」と、ロシアとは全く異なる内容の声明を出している。

 プーチン政権は旧ソ連諸国の経済共同体「ユーラシア連合」の結成を目指しているが、クリミア併合が影を落とすのは必至だ。(モスクワ 佐々木正明、遠藤良介/SANKEI EXPRESS

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