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こういう女性には恋をしないのが一番 映画「バツイチは恋のはじまり」 ダニー・ブーンさんインタビュー
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「今の世の中は以前に比べ、ますます暗く、シニカルで、暴力的になったと感じています。だから僕は人々に感動と笑いを届ける起爆剤になりたい」と語る、俳優のダニー・ブーンさん=2014年6月30日、東京都新宿区(大橋純人撮影) この男性と一緒になれば必ず幸せになれる-。やや極端なエピソードを交えて結婚相手の見極め方を分かりやすく教えてくれるのが、フランスの人気ロマンチックコメディー「バツイチは恋のはじまり」(パスカル・ショメイユ監督)だ。恋も仕事も完璧な妙齢のキャリアウーマンが何と本命の恋人を袖にして、全くうだつの上がらない三流旅行雑誌の編集者の男に少しずつ心惹(ひ)かれていく様子が、繊細かつユーモアたっぷりに描かれている。
編集者にふんしたのはフランスの国民的コメディアン、ダニー・ブーン(48)。彼の考える運命の女性の見極め方はなかなか言い得て妙だ。「時々恋人を変えてみるのもいいんじゃないかな。いつも恋人が同一人物だと思って、次々と恋人を取り換えていくのもいい。恋人と同じ名前の女性を次の恋人にしてみるのも面白いかもしれないね」。私生活でも女性たちにモテモテで、果ては“豊富な”結婚生活を血肉としてきたブーン流のジョークだけに、捨て置くことができない含蓄というものがある。もっともブーンは本当に好意を抱いた女性を前にすると、緊張してしまい、思ったことの半分も言えなくなってしまうそうだ。
歯科医、イザベル(ダイアン・クルーガー)の家系には「1回目の結婚は必ず失敗する」という聞き捨てならないジンクスがあった。イザベルは、顔も、仕事も、財産も-何もかもが結婚相手として申し分ない同棲(どうせい)中の彼氏、ピエール(ロベール・プラニョル)と結婚する前に、わざとバツイチになろうと計画。お調子者で、まるで女気のない編集者、ジャン=イヴ(ブーン)に接近し、パリ、ケニア、モスクワ-と彼の世界半周旅行に付き添うことにしたが…。
結婚後、イザベルからどんなに悪質な意地悪を仕掛けられても、すべてを笑って受け入れてしまうジャン=イヴが実に痛々しい。こんな女性にはどんな対抗措置を講ずればいいのだろう。「そういう女性には恋をしないのが一番。僕はジャン=イヴが優しすぎるからいけないと思いますね。イザベルにはある時点できっぱりと『おい、やめろよ』と言わなければだめです」。ブーンは語気を強めた。ジャン=イヴがイザベルに強い態度に出られない理由については「イザベルが美し過ぎ、ジャン=イヴが彼女を愛し過ぎた結果、どうしても男性側は心理的に弱くなってしまう」と推し量った。
実はロマンチックコメディーに積極的に出演することはあっても、鑑賞するのは照れくさくて苦手らしい。「人を笑わせることに僕の存在意義があるとはいえ、作品を真剣に見るのはちょっと…。妻はロマンチックコメディーを見るのが大好きで、僕も一緒に見ることはあります。だって、そうしないと、妻が優しくしてくれませんからね」。愛妻の尻に敷かれたブーンだからこそ、きっとジャン=イヴにずしりと重い存在感が備わったのだろう。公開中。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:大橋純人/SANKEI EXPRESS)
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