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社会
【御嶽山噴火】突然「ドカン」 登山者のみ込む噴煙
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【御嶽山噴火】火山灰が降るなか下山する登山者=2014年9月27日午後0時45分ごろ(登山者提供) 秋の行楽シーズンを襲った御嶽山の噴火。噴煙が大勢の登山者をのみ込み、大量の灰で周囲は暗くなり、麓に至る山肌を真っ白に染めた。登山者らは逃げるように山を降りたが、山頂付近に取り残された人もいる。被害状況はなかなか把握できず、関係者らは一様に不安な色を浮かべた。
「本当に生きた心地がしなかった」。御嶽山が噴火した際に頂上付近にいた長野県飯島町の山岳ガイド、小川さゆりさん(43)は、興奮した様子で当時を振り返った。
朝からガイドの下見のため御嶽山に登っていた小川さん。午前11時40分ごろ頂上に到達し、火口を回る「おはち巡り」をしていたところ、突然「ドカン」と大きな音がした。驚いて音がした方向を向くと、石を空中に飛ばしながら、一気に煙が噴き出していた。まもなく強い硫黄臭が漂い、嘔吐(おうと)する登山客もいた。
噴火当時、頂上には50人ぐらいの登山客がおり、女性4人組のグループの一人は、飛んできた石が左足に当たり、骨折してパニックになっていた。「救助してあげたかったが、どうにもできなかった」
噴火の勢いが一時的に弱まったすきに、普段通らないルートをまっすぐ突っ切り、一目散に走って9合目にある石室山荘まで下りて助けを求めた。依然として石も飛んできたが、頂上付近にいたような巨大な石はなく、ほっとしたという。
「もう、生きて帰れないと思ったけど、なんとか生還することができた」。そう語る小川さんの髪には灰や粘土状の火山灰が付いたまま。リュックは灰色の火山灰に覆われていた。
噴火当時は土曜日の昼前という最も登山客が多い時間帯。8合目の山小屋「女人堂」には一時100人超が避難した。中には骨折していた人もいたという。
7合目にある「行場山荘」の経営者、田ノ上徳延さん(67)は突き上げるような音で噴火に気づいた。ドンドンという音が4、5回あり、噴煙で日差しが遮られ、一帯が真っ暗になり、灰は1時間近く降り続いたという。
木曽町のペンション「ロッジ上天気」では、宿泊客の1人が噴火当時、頂上付近にいたという。「命からがら逃げた」とペンションに連絡があったが、その後は携帯電話が通じなくなった。「噴火する山だということは知っていたが…」。経営する寺本勝司さん(52)は肩を落とした。
≪あらゆる色を失った想像絶する世界≫
御嶽山は大量の火山灰に覆われ、無残な姿をさらしていた。27日午後、ヘリコプターに搭乗して上空から見えたのは、あらゆる色を失った想像を絶する世界だった。
山頂上空に到着したのは午後4時10分ごろ。複数の場所から白い噴煙が空高く立ち上っているのが見えた。ドライアイスを湯の中に入れたときのように、煙がぼこぼことわき上がり、勢いが衰える様子はなかった。
「火口まで2キロ。これ以上近づいたら危険だ。噴煙でエンジンがやられる」
パイロットの表情がこわばった。風向きが変わったのか、時折、硫黄のにおいが鼻を突いた。大量の噴煙が太陽を遮り、山頂は夜かと見まがうほどだった。山頂周辺は灰が降り積もり、雪景色のように木々も真っ白になっていた。
登山客らは山小屋に避難しているのか、人影は全くなかった。噴煙以外に動くものは何もなかった。
上空に高々と伸びる噴煙は、御嶽山から約120キロ離れた滋賀県米原市の上空からもはっきりと確認できた。しかし、山に近づいても、中腹から麓は厚い雲に覆われていたため、山容すらうかがえなかった。
御嶽山上空をヘリで旋回していたのは15分ほど。機上からは下山する登山客も見えなかった。シャッターを切りながら、あまりに異様な光景に言葉を失った。(写真報道局 甘利慈/SANKEI EXPRESS)