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社会
【御嶽山噴火】水蒸気爆発か 「数カ月続く可能性」
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御嶽山(おんたけさん、標高3067メートル)九合目付近で撮影された噴火直後の様子=2014年9月27日、長野県木曽郡王滝村(提供写真) 27日午前、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(おんたけさん)が突如噴火した。噴火のメカニズムはまだ分かっていないが、専門家は前回の2007年などと同じ水蒸気爆発とみており、気象庁は火山灰などを分析して詳しく調査する。
地球上には、内部に沈み込んでいく海洋プレートに沿って火山が分布する「火山フロント(前線)」がいくつも存在している。日本列島付近もその一つになっており、御嶽山はこのフロント付近に位置している。
気象庁によると、火山フロントの周辺では、沈み込んだプレートの影響でその上の岩石でできたマントルが解けて上昇し、マグマが形成される。圧力の高い地下深くにあるマグマが何らかの原因で上昇すると、圧力が下がって内部の水などが発泡。すると密度が軽くなって地表まで上昇し噴き出す。
気象庁は「炭酸の入ったジュースの缶を振った後に開けると噴き出すのと同じような仕組み」と説明する。
御嶽山は約1万年前以降、マグマを放出する噴火や、マグマの熱で地下水が水蒸気となって爆発する水蒸気爆発を繰り返してきた。しかし、噴火は頻度が低く歴史記録は残っておらず、1979年の噴火が有史以来、初の噴火だった。
このときの噴火は山頂南西の山腹にできた割れ目で水蒸気爆発が発生。複数の火口から噴煙が上がり、前橋市付近まで火山灰が降った。噴出物は二十数万トンと推定されている。
91年と07年の小規模噴火も水蒸気爆発だった。荒牧重雄東大名誉教授(火山学)は今回の噴火について「見る限りではマグマの関与は認められず、水蒸気爆発とみられる」と話す。
気象庁によると、今回の噴火場所は山頂南側の火口とみられ、3キロ以上にわたって噴煙が流れ下った。高温の軽石やガスなどの混合物が高速で流れ落ちる「火砕流(かさいりゅう)」が発生した可能性が高い。火砕流は非常に危険な現象で、雲仙普賢岳(長崎県)で大きな被害をもたらしたことで知られる。
今後の推移について、気象庁の北川貞之火山課長は「数カ月続く可能性もある」と指摘。荒牧氏は「予想できないが、防災面からは悪い方に考えて噴煙や噴石に警戒すべきだ」と、呼び掛けた。
≪記録が乏しく手薄な観測網≫
御岳山では約2週間前に火山性地震が活発化したが、気象庁は噴火の前兆現象と判断できず、予知できなかった。噴火の記録が乏しく観測網も手薄だったためで、経験則に基づく噴火予知の難しさを示した。
気象庁によると、御嶽山では9月10日ごろに山頂付近で火山性地震が増加し、一時は1日当たり80回を超えた。しかし、その後は減少に転じた。マグマ活動との関連が指摘される火山性微動は噴火の約10分前に観測されたが、衛星利用測位システム(GPS)や傾斜計のデータに異常はなく、マグマ上昇を示す山体膨張は観測されなかった。
噴火は地震と比べると予知しやすいとされるが、過去の噴火で観測されたデータに頼る部分が大きい。気象庁火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は「今回の噴火は予知の限界」と話す。
2000年の有珠山(うすざん、北海道)の噴火は約1万人が事前に避難し、予知の初の成功例として知られる。有珠山では江戸時代以降、地震増加が噴火に直結することが分かっていたからだ。ただ、こうした経験則が成り立つ火山は例外的だ。御嶽山は有史以来初となった1979年の噴火が起きるまで、噴火の可能性すら認識されず、近年も静穏な状態が続いていた。(SANKEI EXPRESS)