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トラブルは人のやさしさに触れるチャンス 「ど・スピリチュアル日本旅」著者 たかのてるこさん
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「旅に出ると、人ってなんてあったかいんだろうと何度も思わされます」という、著者のたかのてるこさん。この笑顔が人との出会いを引き寄せるのだろう=2014年9月18日(塩塚夢撮影)
世界60カ国を旅し、その様子を『ガンジス河でバタフライ』などエネルギッシュなエッセーにつづって人気のたかのてるこさん(43)が、今度は日本にダイブした。『ど・スピリチュアル日本旅』は、「世界一スピリチュアルな国」の魅力をハートフルに伝えている。
銀座でOLをしながら世界中を旅してきたたかのさんだが、3年前に思い切って退社。今まであまり知らなかった母国の魅力を知るべく国内旅行を始めた。そこで見えてきたのは、「日本がいかにスピリチュアルな国か」ということだった。「たとえば『気』という言葉。『気が重い』『気がつく』など、日本人は1日に何回も目にみえないものについて話している。日本はまさに『ど・スピリチュアル』な国なんです」
和歌山・高野山での密教プチ修業、三重・伊勢神宮への母娘参拝、北海道・二風谷(にぶたに)でアイヌのシャーマン宅にホームステイ、佐賀・三瀬村での農業ヒーリング、沖縄本島と離島での聖地巡りとユタとの出会い…の全5旅を収録。「自分のふるさとと自然を愛して、人の気持ちを察することが上手で…。チャーミングな人たちが生きる、ものすごく個性豊かな『スピリチュアル・アイランド』。今まで自分の国を知らなすぎて、本当にすみませんでした!と謝りたくなるぐらい」
すべての旅に共通するのは「人に会う」こと。道に迷えば地元の人のクルマに乗せてもらい、いきなり会った書店の店長と飲み、村の寄り合いに飛び入り参加…。どうして、こんなに出会えるの?
「一人旅、行き当たりばったり、方向音痴…だからかなぁと。旅に出るようになって、短所だと思っていた方向音痴を長所だと思えるようになって(笑)。道を尋ねると、みんな一生懸命教えてくれる。なんでこんなにやさしくしてくれるの!?ってぐらい。旅ではトラブルもあるけど、それはマイナスでなく、むしろ、人のやさしさに触れるチャンスなんです。人にやさしくしてもらうと、それだけ自分も人にやさしくなれますから」
沖縄の平均年齢78.5歳(!)のおばあホステスに、高野山の美坊主、農家民宿のキュートな夫婦。濃くてあったかいキャラクターがそこにもかしこにも登場する。本書には、たかのさんが撮影した彼らの写真もたっぷり収録されているが、そのみんなが、まぶしいほどの笑顔。「写真を撮るときは、『うわ、なんてすてきな笑顔! もう大好きです!』って気持ちを最大限に伝えています。もう本当に、そう思っちゃうんですよ」
最近、「『たい』運動」を提唱しているという。「起き『なきゃ』、じゃなくて、起き『たい』。すべての行動を『しなきゃ』から『したい』に変えていく。でも、普段の生活を送っていると、ついつい『しなきゃ』ばかりになってしまう。行きたい、食べたい、会いたい。旅の中では、自分の欲求がストレートに出てくる。だから、私は旅に出るんです」。人を、自分を、この世界を、もっと好きになるために。(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)
「ど・スピリチュアル日本旅」(たかのてるこ著/幻冬舎、1400円+税)