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政治
日本の常任理事国入りを阻む中国
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尖閣諸島(沖縄県石垣市)、石垣島(沖縄県石垣市)
安倍晋三首相(60)は、「積極的平和主義」を体現するために国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指している。国連加盟国3分の2(129カ国)以上の賛同を得なければならないという物理的ハードルもさることながら、大きな壁として立ちはだかるのが、「五大国」の一員として常任理事国にいる中国だ。
米英仏露中の常任理事国の枠を拡大する安保理改革は、関係国の利害関係が複雑に絡み合うため、実現は難しいとされる。日本との関係で言えば、中国と韓国がそれに当たる。中でも常任理事国の中国は、日本が加入することになれば、自国の発言力が相対的に低くなり、アジアで唯一の常任理事国としての優越性を失うと危惧する。
だが、中国側が最も嫌がるのは、国連を中心に国際社会で日本の発言力が強まることだろう。
中国は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵犯を繰り返し、力によって尖閣を奪い取ろうとする意志を隠さない。東シナ海では、中国軍による挑発、威嚇行為が多発し、最近でも5、6月に中国軍戦闘機が自衛隊機に異常接近するなど不測の事態に発展しかねない、軍事的常識を逸した行動も躊躇(ちゅうちょ)しないでいる。南シナ海に目を転じれば、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の領有権をめぐって東南アジア諸国と対立を深めている。
こうした力による現状変更の試みを非難する日本の発言力が強まれば、中国のいびつさはより鮮明になり、国際社会で中国脅威論が高まることは不可避だ。中国は最もそれを恐れているだろう。
中国が今後、日本の常任理事国入りを阻止するため、経済援助の見返りに改革賛同国を切り崩したり、慰安婦問題など歴史認識を持ち出し、日本を貶(おとし)めようとしたりすることが予想される。日本政府はこうした抵抗を押しのけ、過去から将来にわたる国際貢献を強調していく必要がある。その第一歩が9月25日の国連総会の一般討論演説だった。
既得権益を手放したくない現在の常任理事国も、安保理改革をあからさまには反論できない。国際紛争が起きても、常任理事国の米英仏と露中が拒否権を行使し合うために対応できない“機能不全”が指摘されるからだ。
また、アジアやアフリカは加盟国数や人口が多いにもかかわらず、常任理事国は中国のみだ。こうした地域的な偏在性を是正し、「国連を21世紀にふさわしい姿に変える」(安倍首相)と訴えるのは一定の説得力を持つ。
日本は同じく常任理事国入りを目指すドイツ、インド、ブラジルとの4カ国グループ「G4」の枠組みで連携して安保理改革を促し、来年秋の国連総会で「具体的な進展」を得ることを目標としている。来年は国連創設70周年に当たり、安保理の改革機運を盛り上げやすいとみているからだ。
G4は創設60周年だった05年にも、常任理事国を11カ国、非常任理事国(現在は10カ国)を14カ国にそれぞれ拡大する改革案を総会に提出したが、反対運動にもさらされ、頓挫した。G4には、この苦い経験をもとに、より多くの加盟国が賛同しやすい改革案を仕上げるなど、戦略の練り直しが求められている。
また、05年の総会で反対した米国や中国からどうやって理解を取り付けるかも課題だ。国連加盟国の約3割を占めるアフリカや、同じく7%のカリブ共同体(カリコム)と戦略的に連携して安保理改革のメリットを訴え、いかに改革機運を盛り上げていけるか。首相は、来年秋の総会に向け、「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」の真価が問われる1年を迎えている。(峯匡孝/SANKEI EXPRESS)