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【Q&A】米のシリア空爆 対イスラム国「弱腰」批判をはね返す
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過激派「イスラム国」の主なデータ=2014年9月27日現在、※米CIA(米中央情報局)などによる 米国は22日(シリア時間23日)、過激派「イスラム国」のシリア領内にある拠点に対し、初の空爆に踏み切った。
Q イラクでは8月から空爆しているね
A イラクと異なり、シリアは空爆を要請していないんだ。シリアのアサド大統領は、自らの退陣を迫る米国と連携するつもりはないからね。とはいえ米国から空爆の事前通知を受け、事実上容認する姿勢を示しているよ。アサド政権にとっては過激派も、親欧米の反体制派も同じ「テロリスト」だからね。
Q 要請もないのに他国で軍事行動を取って大丈夫?
A 今回のシリア空爆は、国連憲章が規定する安全保障理事会の決議を経ていないから国際法違反だという批判がある。けれど、米国は空爆の根拠に、個別的または集団的自衛権を認めた国連憲章51条を挙げている。イスラム国による脅威が差し迫り、実力行使に踏み切ったという説明だね。
Q オバマ米大統領は国際協調主義を掲げてきたんじゃないの?
A ネット上に公開された米国人惨殺映像が与えた衝撃は大きく、大統領の民主党が劣勢とされている11月の中間選挙を前に「弱腰外交」との批判をはね返す必要があったんだ。
批判をかわすため、イラク戦争のような単独行動ではなく、サウジアラビアやヨルダンなどアラブの有志国とともに空爆を実施したと強調している。キリスト教徒の多い米国が、イスラム教徒が大多数を占めるアラブ諸国と作戦を行い「キリスト教対イスラム教」というイメージを避け、「穏健派対過激派」という主張を前面に出したかったのかもね。
Q 大統領は24日の国連総会一般討論で断固たる決意を示したね
A イスラム国を「死のネットワーク」と強く非難して、圧力を強めるため国際社会に包囲網をつくる有志国連合への参加を呼び掛けた。
安保理も首脳級の緊急会合を開き、イスラム国に参加する外国人戦闘員の処罰を加盟国に義務付ける決議を採択したよ。
Q 今後の見通しは
A 空爆だけでイスラム国を追い詰めるのは難しく、作戦の長期化は必至だね。一方でシリア内戦にも影響がある。欧米は、イスラム国弱体化で反アサド政権勢力の盛り返しに期待するけれど、むしろ政権側が力を伸ばす可能性もある。どう決着がつくか誰にも見えない状況がしばらく続きそうだ。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪国連決議なし 法的根拠に疑問も≫
シリア領内でのイスラム国への空爆は、国連安全保障理事会のお墨付きを得ないまま強行したイラク戦争などと同様、国際法上の根拠が乏しいとの指摘が出ている。
オバマ米政権は、イスラム国が米国にとって直接の脅威に当たるとの判断から、自衛権の行使が認められるとして強行突破を図る構えだ。しかし、シリアはイラクのように米国に空爆を求めたわけではない。
国連憲章では、個別的または集団的自衛権の行使を除き、安保理決議を伴わない武力行使は違法とされる。今回は米国が安保理決議というお墨付きを得ようとしても、常任理事国のロシアが拒否権を行使するのは必至だったため、決議採択をあきらめた。実際、ロシア外務省は23日の声明で、「シリア政府の明確な合意や安保理の決議を経ずに実施した国際法違反で侵略行為」と批判した。
イスラム国は8月から9月にかけ、米国人ジャーナリスト2人を惨殺し、その映像を公開。オバマ政権にとっては、イスラム国の脅威が自衛権行使を迫られるほど差し迫っていることをどこまで具体的に示せるかが、国際的批判を封じる上で重要になる。(SANKEI EXPRESS)