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不器用をマイナスに感じたことない 映画「小野寺の弟・小野寺の姉」 片桐はいりさんインタビュー
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アラフォー女性の心理を巧みに表現した、女優の片桐はいりさん=2014年10月7日、東京都渋谷区(野村成次撮影) 脚本家、西田征史(39)の映画監督デビュー作「小野寺の弟・小野寺の姉」は、見ていてハラハラするほど不器用な生き方を身上とする仲良し姉弟のそれぞれの恋の行方を描いた、ほんわかとぬくもりのあるコメディー。アラフォー女性の葛藤をリアルかつ軽やかに演じたのが姉役の片桐はいり(51)だ。
「私にも弟がいるので姉役に自然に入っていけました。自分の内面と重なる部分もあり、違和感はなかったですね」。弟にふんした向井理(32)とは、西田監督の脚本・演出による昨年の同名舞台でも姉弟を演じた勝手知ったる仲だけに、片桐は「自然な姉弟を演じることができました」と胸を張った。
不惑を迎えた小野寺より子(片桐)は、いつも寝癖がついた7歳年下の弟、進(向井)と一軒家で2人暮らし。早くに両親を亡くしたため、力を合わせて生きてきた。世話好きなより子の気がかりは、進の引っ込み思案な性格。異性にも奥手で見ていられない。そんなある日、1通の手紙が自宅に誤配され…。
髪形を数十年も変えないより子ほど強烈ではないけれど、片桐は不器用な生き方をする方だという。「何でも器用にこなしたり、誰とでもうまくやれるわけではありません。人と衝突もしますよ」。ただ不器用のどこが悪いのか?と、ふと考えることがある。人生に不器用な芸術家が力を帯びた作品を世に送り出し、大輪の花を咲かせるケースだってある。「私はマイナスに感じたことなどありません」
とかくアラフォーは「不惑」の言葉もあるように、心身ともに成熟して何事にも自信が出てくる時期である半面、体力は確実に落ちていて老化を意識し始める年頃でもある。男女ともに独身のままアラフォーを迎えて、どこか後ろ暗い気持ちにさいなまれたとしても、片桐は「生き方は人それぞれ。結局は、自分が人生を過ごすのに一番楽な状況をいつ、どのように作り出すかという話にすぎません。一人で死んでいく覚悟があればいい。独身の私は半分、そんな気持ちでいますよ」と意に介さない。
ところで、姉と弟がいい関係を保てるとっておきの秘訣(ひけつ)はあるのだろか?「より子とは逆に干渉しすぎないことでしょうか。地球の裏にあるグアテマラを生活の拠点とする弟とはたまにスカイプで話す程度。いい距離感が保てるのか、仲良しなんですよ。希有な例かもしれませんが…これが日本在住だったら、いろんなしがらみが出てきて、何かといさかいも起きるでしょうね」。10月25日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
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