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NY市警襲った憎悪の連鎖 警官2人射殺 直前に「黒人制圧死へ仕返し」

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NY市警襲った憎悪の連鎖 警官2人射殺 直前に「黒人制圧死へ仕返し」

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パトカーの中で銃撃され、死亡した警察官2人の遺体を載せた警察車両の車列を敬礼とともに見送るニューヨーク市警の職員たち=2014年12月20日、米ニューヨークのブルックリン地区(ロイター)  米ニューヨークのブルックリン地区で20日、パトカーに乗って巡回していた警察官2人が待ち伏せしていた男に撃たれ、死亡した。男は近くの地下鉄の駅に逃げ込んだが、構内で頭部を撃って自殺した。男は事件直前、米国で白人警官が黒人住民を死亡させる事件が相次いでいることをネット上で非難し、警察への仕返しを示唆する投稿をしていた。ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長(53)は「これは暗殺だ。2人の警官は処刑のやり方で射殺された」と指摘、警官を標的にした犯行との見方を強調した。米国社会に高まる警察への反発が残忍な警官殺害にまでエスカレートしたことに大きな衝撃が広がっている。

 元彼女撃った後

 デブラシオ市長と並んで記者会見したニューヨーク市警のウィリアム・ブラットン本部長(67)によると、男はイスマイル・ブリンスリー容疑者(28)。容疑者は東部メリーランド州ボルティモアで20日朝、元ガールフレンドを撃って重傷を負わせた後、ニューヨークに移動。パトカーに助手席側から近づき、セミオートマチック式の拳銃で警告もなく発砲した。

 AP通信やロイター通信によると、容疑者は黒人で、警官2人はアジア系のウェンジアン・リウ氏(32)とヒスパニック系のラファエル・ラモス氏(40)。

 米国では白人警官が黒人住民を死亡させる事件がミズーリ州やニューヨーク市などで相次ぎ、警察批判が高まっている。

 ニューヨーク市警をめぐっては7月、たばこの違法販売の疑いで白人警官が黒人男性を取り押さえようとした際、内規で禁止された背後からの首絞めとみられる行為で制圧し死亡させたことが批判の的になった。今月3日にはその白人警官が大陪審で不起訴となったことから、制圧時の映像で死亡したエリック・ガーナーさん=当時(43)=がもらした「息ができない」といううめき声を合言葉に、ニューヨークをはじめ全米で3日連続の大規模な抗議デモが発生。首都ワシントンの中心部でも13日に約1万人が参加し、人種偏見や差別の撤廃を訴えるデモ行進が行われたばかりだ。

 黒人指導者らも非難

 だが、パトカーを待ち伏せして警官2人を問答無用で射殺した今回の事件については、犯行への非難が広がっている。米CNNによると、抗議デモを主導してきた黒人指導者のアル・シャープトン師(60)は、ガーナーさんの遺族は警官への銃撃に憤慨しているとの声明を発表。ガーナーさんらの名を掲げた警官襲撃は、正義を求める運動の趣旨に反すると反発した。

 また、ガーナーさん死亡をめぐって人種的な少数派への配慮を促していたバラク・オバマ大統領(53)も声明で「警官はわれわれの社会を日夜守ろうとしている。敬意と感謝の念を払うべきだ」と強調した。

 殺害現場近くに住むフォトグラファーのジョン・ジェロニモさん(28)はロイター通信に、これまでよりも街に警官が増えるだろうとしたうえで、「多くの人々が(警官に)チェックされ、車を止められるようになる。緊張感が高まっていくだろう」と話した。クリスマス休暇を迎えた米国社会を殺伐とした空気が覆っている。(SANKEI EXPRESS

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