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超一流目指して 各地で活動活性化 「モーストリー・クラシック2月号」 進化する! 日本のオーケストラ

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超一流目指して 各地で活動活性化 「モーストリー・クラシック2月号」 進化する! 日本のオーケストラ

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東京都響を指揮する大野和士さん(東京都交響楽団提供)。(C)堀田力丸  日本を代表する指揮者の一人、大野和士が来年4月、東京都交響楽団の音楽監督になる。また9月にはパーヴォ・ヤルヴィがNHK交響楽団の首席指揮者に就任する。月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック2月号」は、「進化する! 日本のオーケストラ」を特集し、活性化する日本のオーケストラのさまざまな動きを伝えている。

 世界的指揮者が就任

 大野は1960(昭和35)年、東京生まれ。東京芸大・同大学院で学んだ。87年、トスカニーニ国際指揮者コンクールで優勝。東京フィル常任指揮者、ベルギー・モネ劇場音楽監督などを経て、現在、フランス・リヨン国立歌劇場首席指揮者を務めている。

 大野は今年、デビュー30周年だが、プロの指揮者として初めて指揮台に上がったのが東京都響。また、オーケストラの定期演奏会を初めて指揮したのも東京都響だった。

 「団員に昔から知っている仲間の演奏家が多いということもありました。さらに、私のこれまでのオペラを含めたさまざまな体験を、同時代に生きる者として、社会的な問題も意識しながら、クラシック音楽を伝えていくことの意義や可能性を見いだせることを確信できたからでもあります」と音楽監督を引き受けた理由を話した。

 N響の首席指揮者に就任するパーヴォ・ヤルヴィは、62年、エストニアの首都タリン生まれ。父ネーメ、弟クリスチャンも指揮者という音楽一家。アメリカで教育を受け、シンシナティ響首席指揮者などを歴任。現在、今月来日したばかりのドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンの芸術監督などを務める世界的な指揮者。

 このほか、読売日本交響楽団はカンブルランが常任指揮者を務め、「その歴史において、もっとも充実した時代を迎えているのではないか」(音楽評論家、鈴木淳史氏)。

 広上淳一が常任指揮者を務める京都市交響楽団は、定期公演が満席を続けている、など日本オーケストラ連盟加盟のオーケストラ33団体はいま、活発な活動を続けている。

 100年超の歴史

 ところで、日本のオーケストラ史は100年以上に及ぶことをご存じだろうか。日本の洋楽演奏団体は1871(明治4)年に創設された海軍と陸軍の軍楽隊にさかのぼる。87(明治20)年、東京音楽学校が開校し、学内オーケストラが作られる。明治後半になると、三越や白木屋、いとう呉服店(後の松坂屋百貨店)が少年音楽隊を結成し宣伝などに活用した。

 オーケストラ史で忘れてならない人物は山田耕筰と近衛秀麿。「赤とんぼ」などの作曲で知られる山田はベルリン留学から帰国後の1915(大正4)年、東京フィルハーモニー会管弦楽部を組織し、その後、弟子の近衛と日本交響楽協会を作った。内紛で分裂し、近衛は現在のN響につながる新交響楽団を結成する。山田は「日本の交響楽運動の父」と称され、近衛は団員から「親方」と呼ばれ慕われた。

 その後、山田一雄、尾高尚忠、上田仁、朝比奈隆、渡邉暁雄たち、外国からはローゼンシュトック、ワインガルトナー、グルリット、ミュンシュらが来日、多くの指揮者が日本のオーケストラの実力を向上させるために奮闘した。現在、その水準は非常に高くなったが、まだまだ世界に発信する力は弱い。

 西原稔・桐朋学園大教授は「日本が超一流の管弦楽団を組織するために求められているのは、交響楽団やクラシック音楽に対する社会の温かい目と支援、そして文化に対する私たち国民の『哲学』であるように思われる」と記している。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS

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