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経済
米シェール企業初破綻 原油安で淘汰
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原油安により苦しい経営となる米国のシェール油田=2014年12月4日、米ノースダコタ州ウィリストン(ロイター) 約半年で半値以下になった急激な原油安で、米国のシェール関連企業への影響が拡大している。米メディアによると、テキサス州のシェール開発企業、WBHエナジーは8日までに米連邦破産法11条の適用を申請した。原油安による売り上げ減少が要因で、シェール開発企業の破綻は初めてとみられる。米国のシェール開発会社はこれまで資金を借り入れて開発を続けてきたが、今後は採算が取れなくなるケースが増えるとの声も出ている。
シェール開発は地中のシェール(頁岩=けつがん)層に割れ目を入れてオイルやガスを取り出す。近年採掘手法が確立され、米国で生産が拡大した。その結果、2009年に19.5億バレルだった米国の原油生産量は13年には27.1億バレルまで増加。増加分の多くがシェールオイルによるもので、米エネルギー省のアーネスト・モニツ長官(70)は8日、ワシントン市内で「15年も原油生産量は増えるだろう」と話した。
しかしシェール開発の現場では大変動が起きている。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米国のエネルギー企業が抱える負債は10年に1280億ドルだったが、直近のデータでは1990億ドルまで拡大。一方、原油価格は08年のピークから約3分の1まで値下がりした。
シェール開発企業では原油の売却で得られる収入の減少により負債の返済が滞るケースが出ているとみられ、「資金の貸し手が開発企業に対して、さらに原油価格が下落した場合の返済計画や資産の売却を求めている」(アナリスト)との指摘も出ている。
米石油サービス会社ベーカー・ヒューズによると、リグと呼ばれる掘削施設の数は1月2日現在で1482基で、昨年10月から減少傾向をたどっている。また昨年末にはメキシコ湾での石油開発を手がける企業が300人超の従業員を一時解雇するといった動きも報じられており、開発の手控えが広がっているかたちだ。
一方、シェール開発企業は負債返済のための資金を確保するためには「薄利多売になっても生産を続ける必要がある」(市場関係者)との見方もある。また資金力のある一部の企業は今後も生産を続ける余力があり、シェール企業の淘汰(とうた)は始まったばかりの段階でもある。
原油安の背景には、米国の生産増のほか、昨年11月末にサウジアラビアが主導する石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったことも大きい。サウジにはOPEC加盟国の財政悪化を受け入れてでも、原油安で米国のシェール企業を追い込む狙いがあるともされ、今後も原油価格の水準をにらみながらの我慢比べが続きそうだ。(ワシントン 小雲規生/SANKEI EXPRESS)
≪赤字転落 日系生産に影響≫
日本の大手商社や電力、ガス会社もシェール開発を進めているが、今のところ「(開発などに)影響が出ているという情報は入っていない」(日本ガス協会の尾崎裕会長)という。それでも、今後も原油価格の下落が続けば、「順調な再生産ができなくなる」(大手ガス首脳)として、日系企業のシェール生産にも影響が及ぶ可能性がある。
米国で経営破綻が増えているのは「中小の石油会社が中心」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之上席エコノミスト)という。日系企業が開発を進めるのは、主に大手商社や大手の電力、ガス会社だ。
大阪ガスと中部電力はシェールガス由来の天然ガスを液化する「フリーポートLNGプロジェクト」(米テキサス州)を進めており、2018年にも割安なLNGを日本に輸入し、都市ガスの原料や火力発電所の燃料などとして活用する方針だ。
一方、三菱商事と三井物産は「キャメロン」(ルイジアナ州)、住友商事は「コーブポイント」(メリーランド州)に権益を持ち、日系の大手電力やガス会社に販売する計画。ただ、住友商事は米国のシェールオイル開発で失敗し、14年9月中間決算が最終赤字に陥った。(SANKEI EXPRESS)