SankeiBiz for mobile

盗難3000万円の絵 パンクバンド、路上で発見 米、謝礼拒絶も「曲にすれば売れるかな?」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

盗難3000万円の絵 パンクバンド、路上で発見 米、謝礼拒絶も「曲にすれば売れるかな?」

更新

盗難に遭った米画家、ジョージ・ロドリーゲ氏の絵画「ウェンディと私」(ロイター)  米ルイジアナ州出身の人気画家、ジョージ・ロドリーゲ氏(1944~2013年)の25万ドル(約3000万円)相当の絵画が白昼堂々ニューオーリンズにあるギャラリーから盗まれる事件があり、米国で話題になっている。絵画は数時間後に無傷で発見されたが、これを見つけて警察に届け出たのはパンクバンドのメンバーだった。欧米でもパンクといえば「不良」のイメージが強いだけに、メディアが今回の「お手柄」をこぞって報じている。

 まさに「あんぐり」

 英BBC放送やロイター通信(いずれも電子版)などによると、このバンドはニューオーリンズを拠点に活動している「ステレオ・ファイア・エンパイア」。ボーカルのジョン・ケネディさん、ギターのエバン・ディエズさん、ベースのエリオット・ニューカークさん、ドラムのキース・アンセルモさんからなる4人組のバンドだ。

 米時間の今月6日夜、いつものようにライブハウスでの演奏を終えて帰路に就いた際、ギターのディエズさんが路肩の壁に立てかけられている奇妙な絵画を発見した。

 そのときの様子を一緒にいたベーシストのニューカークさんはこう振り返る。

 「ちょうど、うちのギタリストがフェイスブックで絵が盗まれたというニュースを見てその話をしていたところだったんだ。誇張なしにその5分後だよ、彼が絵を見つけたのは。彼はまさに“あんぐり”といった表情だったね」

 絵画が盗まれたのは、そこから数ブロック離れたロドリーゲ氏のギャラリー。BBCによると、6日午後3時に泥棒がギャラリーの中に歩いて踏み入り、壁に掛かっていた絵を外して持ち去った。犯行の一部始終は監視カメラで撮られており、その映像が地元テレビ局のニュースで大々的に放映された。1分にも満たない短時間での犯行だった。

 第1発見者のディエズさんは地元テレビに、「処分されたアートや廃品を集めるのが趣味なんだ。もし額縁だけだったら家に持ち帰っていたと思う」と説明。ボーカルのケネディさんは「彼の顔は真っ青だった。よく見たら額縁の中身は25万ドルの絵画だったわけだからね」と振り返った。

 彼らはそのまま絵を持って最寄りの警察署に届けたが、「25万ドルの絵を運ぶんだからさすがに緊張したよ。通行人に見られないように慎重に運んだ」(ニューカークさん)という。

 90年代に高い人気

 盗まれた絵画は、「ウェンディと私」というタイトルの1997年の作品。ロドリーゲ氏が2番目の妻、ウェンディさんと結婚した際に描いたものだ。

 ロドリーゲ氏は米フランス系移民ケイジャンの家系で、ケイジャンの狼男伝説をモチーフにした青い犬が登場する作品を描き、90年代に高い人気を博した。

 盗まれた絵が幸いにも直後に発見されたのは、地元テレビの報道を見て、絵画を持ったままでは逃げ切れないと判断した犯人が路上に置いていったためとみられる。

 7日には絵を取り返してもらったロドリーゲ氏の子息、ジャック・ロドリーゲ氏が記者会見を開き、バンドメンバーに感謝を表明したが、彼らは謝礼の受け取りを拒絶して颯爽と去っていったという。

 絵が取り戻せたことで警察は付着した指紋の鑑定などを行い、犯人の特定につなげられると喜んでいる。バンドとしての知名度はもう一つの「ステレオ・ファイア・エンパイア」。BBCによると、謝礼を断ったメンバーのニューカークさんはこんな冗談を飛ばしているらしい。

 「この事件をテーマにした曲を書いたら、売れるかな?」(SANKEI EXPRESS

ランキング