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【後藤さん殺害映像】ヨルダンに防衛駐在官配置を検討

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【後藤さん殺害映像】ヨルダンに防衛駐在官配置を検討

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記者会見する菅義偉(すが・よしひで)官房長官。「イスラム国」に拘束された後藤健二さんが殺害されたとみられる映像公開を受け、後方には、国旗に黒い布を付けた弔旗が掲げられた=2015年2月2日、首相官邸(桐山弘太撮影)  安倍晋三首相(60)は2日の参院予算委員会で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が後藤健二さん(47)ら日本人2人を殺害したとみられる映像を公開したことに関し「彼らの残虐、非道な行為は法によって裁かれるべきだ」と述べ、イスラム国を改めて非難した。また、海外で情報収集に当たる防衛駐在官を新たにヨルダンに置くことを検討する考えを明らかにした。

 安倍首相は、中東地域での人道支援の拡充方針について「彼ら(イスラム国)の思うつぼにはまって脅かしに屈し、政策変更を行ってはならない」と述べた。

 先月17日にエジプトでイスラム国対策として2億ドル(約235億円)の人道支援を表明した経緯については「日本人が拘束されていることへの影響なども含めて総合的に判断し、世界に発信していこうと決断した」と語った。

 後藤さんらの殺害映像に関しては「国民の命、安全を守るのは政府の責任であり、最高責任者は私だ。誠に無念で痛恨の極みだ」と述べた。その上で「日本人の安全確保に全力を挙げ、今後のテロ対策、海外の邦人保護に万全を期していく。テロと戦う国際社会で日本の責任を毅然(きぜん)として果たしていく」と訴えた。

 ヨルダンへの防衛駐在官配置については「軍の情報機関は同じ軍人にしか情報を渡さない慣習がある。ヨルダンは極めて情報収集能力が高い」と述べた。

 自衛隊が米国主導の有志連合の空爆に参加することは「あり得ない」と否定、自衛隊による後方支援も「考えていない」とした。新たな安全保障法制が整備されても、自衛隊がシリアのイスラム国支配地域で邦人救出任務に当たるのは困難との見方も示した。

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は記者会見で、殺害されたとみられる後藤さんと湯川遥菜(はるな)さん(42)の遺体についてイスラム国側に引き渡しを求めない考えを示した。外務省幹部は自民党会合で、イスラム国で殺害された人質の遺体が戻った例がないことに加え、新たな要求につながる可能性を理由に挙げた。

 岸田文雄外相(57)は、外務省でキャロライン・ケネディ駐日米大使(57)と会談し、中東地域の平和と安定に向けて日米が連携していくことを確認した。

 ケネディ氏は「米国民を代表して心からの哀悼の意を表したい」と述べた。

 政府は3日、国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部の会合を開き、今後の政府対応を協議する。

 ≪中東の日本企業 社員安全確保に全力≫

 「イスラム国」が日本人を標的にテロを続けると予告したことを受け、中東周辺で事業を展開する日本企業は2日、影響を見極めるための情報収集や社員の安全確保などの対応に追われた。企業のグローバル展開が加速する中、世界各地で日本人がテロリストに狙われるリスクも高まっており、各社は警戒感を強めている。

 サウジアラビアやクウェートなどで昇降機や電力インフラの販売会社を構える三菱電機の松山彰宏常務執行役は、2日の決算発表会見で「中東が重要市場であることは今後も変わらない」と強調した。一方で、既にイラクなど危険地域への出張を禁止しており「さらに安全を期すための施策を早急に検討していく」と述べた。

 サウジアラビア西部で世界最大級の石油化学プラントを合弁で運営している住友化学は2日、国内外の全社員に電子メールを通じ「テロなどの情報収集に努め、公共交通機関を使うときは周囲の状況に注意してほしい」と呼び掛けた。

 「誘拐のリスク高まる」

 エジプトなどでベビー用紙おむつなどを生産するユニ・チャームも1日に海外駐在員と海外出張中の社員に安否確認のメールを出したほか「夜間や危険な場所での行動は控えるよう」と注意を促した。

 アラブ首長国連邦などに拠点を置くJX日鉱日石開発も2日までに、海外の駐在員に不要な外出は控えるよう通達を出した。「状況を注視し、中東での警戒レベルを上げることも検討している」(広報)という。

 中東に関わりを持つ商社関係者は「イスラム国は従来資金源としていた原油の価格が下落し、身代金に頼り始めたとも聞く。日本人は問題が起きたら金で解決するとのイメージがあり、誘拐されるリスクは高まっている」と警戒を強める。(SANKEI EXPRESS

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