SankeiBiz for mobile

【イスラム国殺害脅迫】後藤さん音声「99.9%本人」 スタジオ録音か 専門家分析 「練習の上読まされている」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの政治

【イスラム国殺害脅迫】後藤さん音声「99.9%本人」 スタジオ録音か 専門家分析 「練習の上読まされている」

更新

NHK番組の出演を終え車に乗り込む安倍晋三(しんぞう)首相。番組内で首相は、湯川遥菜(はるな)さんの殺害場面とする画像について「信憑性は高いと言わざるを得ない」と語った=2015年1月25日、東京都千代田区(共同)  湯川遥菜(はるな)さん(42)を殺害したとする画像の音声が拘束前の後藤健二さん(47)の声と酷似していることが25日、声紋を分析した専門家への取材で分かった。ただ、別人の可能性を指摘する専門家の見解もあり、警察庁科学警察研究所(科警研)も詳細な分析を進めている。

 妻の名前に動揺

 犯罪捜査の音声分析に携わってきた音響研究所の鈴木松美所長(74)によると、拘束前に後藤さんが「何か起こっても責任は私自身にあります」などと話していた動画と、今回の画像を分析。英語で「ケンジ・ゴトウ」と名乗る部分だけで語尾が上がる点など10カ所の特徴が一致したという。他人の場合は2カ所程度にとどまるといい、鈴木所長は「99.9%、後藤さん本人の声だ」と分析する。

 拘束前は「ケンジ・ゴトウ」と話す部分が0.8秒だったが、緊張からか、今回の動画は0.5秒に。全体的に抑揚がない一方、言いよどむ部分も少なく、「文章を何度も練習した上で読まされているのではないか。棒読みのため、文章の内容は本心ではなく、非常に気持ちが沈んでいるようだ」と説明した。

 ただ、妻の名前を読み上げるときは、他にはない変化が声色や話す速度にみられたといい、「感情を抑えきれなかったのだろう。他にはない動揺が見えた」とおもんぱかる。静止画に音声を流すという形式については「映像よりも想像力をかき立てる。画像の効果について相当、計算している」と解説した。

 一方、同様に画像を分析した科警研元副所長で鈴木法科学鑑定研究所の鈴木隆雄代表(75)は「声紋はかなり似通っている」とした上で「一部の発音が違い、別人の可能性がある」と分析。反響音が小さく、雑音もないことから、「高性能マイクを使い、雑音や反響音を排したスタジオで録音されたとみられる」という。

 焦りがある印象

 中東問題の専門家はどう見ているのか。日本エネルギー経済研究所中東研究センターの保坂修司副センター長は「後藤さんとみられる男性の新たな画像と音声はイスラム国が制作した可能性が高い」とした上で、「イスラム国はこうしたケースにおいて、彼らが理解できる言語で人質に話させるのが通例であり、声明が英語であっても不思議はない。イスラム国が用意した文章を後藤さんに読み上げさせた可能性はある」と指摘した。

 イスラム国にはいくつかの公式メディア部門があるが、今回の画像は従来のように凝った作りではない。この点について保坂氏は「ある程度焦りがあったという印象だ。人質の殺害後すぐに制作、公開する必要があったためと思われる。シリアやイラクの支配地域ではなく、外部に素材を送って協力者が編集加工しているのかもしれない」との見方を示した。

 今回の犯行については、「人質のうち1人を殺害して別の要求を突き付けるということを、当初から計画していた可能性もある。いずれにしても、自分たちの存在感を高めて注目を集めるのが最大の目標だろう」と分析。「イスラム法は、捕虜の釈放条件の一つに捕虜の交換を規定しており、イスラム国の要求が通れば後藤さんを釈放する可能性は十分にある」と語った。(SANKEI EXPRESS

ランキング