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「イスラム国」事件が呼んだ韓国「反省」論

 過激派「イスラム国」が後藤健二さん(47)ら日本人人質2人を殺害したとする事件は、韓国でも高い関心を呼んだ。行方不明の韓国人少年(17)がイスラム国に志願したとみられ、人ごとではなくなったこともある。それ以上に、日本人人質の家族が「迷惑をかけた」と謝罪し、政府の尽力に感謝する態度に衝撃を受け、何でも他人のせいにする韓国の風潮に自省を促す声が上がった。

 「わがこと」にした少年

 韓国人少年は、イスラム国の活動地域と近接するトルコ南部で1月10日から行方不明になった。イスラム国関係者とみられる人物とインターネット上で接触し、イスラム国入りを切望していた。

 このニュースが報じられると、少年の短文投稿サイト、ツイッターのフォロワー(読者)数が一気に増大。「イスラム国の一員になりたい」とのメッセージもあったという。この動きに対し、韓国大手紙朝鮮日報(電子版、1月23日)は「深刻なのは、若者たちの間でイスラム国に賛同する動きが広まる恐れがあることだ」とコラムで警告した。「韓国では、過激な思想に惑わされない健在な社会が形成されているか、正直、自信が持てない」とも指摘した。

 別の韓国紙ハンギョレ(1月21日)も「『わがこと』になってきたイスラム国問題」と題する社説で、引きこもりだったという少年の行動が「社会に投げかける警告は軽くない」とし「少年のように精神的よりどころが持てず、自分だけの思いにとらわれる若者が少なくないためだ」と続けた。

 戦闘服姿の国王と「不通」

 イスラム国が拘束していたヨルダン軍パイロットを「焼殺」したとする事件も、思わぬ朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)批判につながった。戦闘服をまとい、ヨルダン国民の団結を呼びかけたアブドラ・ビン・フセイン国王(53)に対して、中央日報日曜版(2月8日)は、社説で「彼は戦闘服姿一つで、衝撃を受けた国民の心をまとめた」と評した。一方で、300人以上が犠牲となった旅客船沈没事故を引き合いに、「国家的難題のたびに国論が四分五裂する韓国とは対照的だ」と論じた。

 「『不通(プルトン)』という批判を意識して少しの間、市場を訪れる幼稚なショーとは根本的に違う」とも強調した。「不通」とは、国民と意思疎通ができていないと朴大統領を非難する際に用いる言葉で、朴大統領のリーダーシップ不足を痛烈に皮肉ったのだ。

 それにまして、韓国世論が注目したのは、殺害映像が出た後の湯川遥菜(はるな)さん(42)の父親(74)ら人質家族の態度だ。父親は、報道各社の代表取材に「迷惑をかけた」ことを謝罪した上で、政府や関係者の尽力に「深い感謝」を示した。韓国のネットでは、「日本の市民意識は本当にすごい。われわれも見習うべきだ」と感嘆する書き込みがあふれた。

 日本人の態度に驚嘆

 東京特派員を経験した朝鮮日報の論説委員は、コラム(1月27日)に「ことあるごとに他人を攻撃することに慣れているわれわれにとって『迷惑うんぬん』と言って頭を下げる日本人の姿には、相変わらず驚かされる」と記した。

 2月6日付の別コラムも「安倍(晋三)政権の失政が大きい」と批判しながらも、人質の家族が示した態度については、「政府が最善を尽くし、自分たちを裏切らないという信頼を持っていた」とし、2004年にイラクで韓国人社員が武装勢力に殺害された事件の政府対応をめぐって国論が揺れ、遺族らが国に損害賠償を求めて提訴した韓国社会との「対極的」な違いに触れた。

 「韓国人は共通の敵の前でも互いに争い、何かあればいつも他人のせいにしてきた」とも言及し、こう自省を促した。「韓国人の致命的な弱点だ。これを克服できない限り、日本に追いつくことは永遠にできないだろう」(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS

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