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【チュニジア襲撃テロ】実行犯の素顔 「冗談好き 普通の若者」親族戸惑い
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チュニジア内務省がフェイスブックで公表した博物館襲撃テロの実行犯2人(右側)の映像。銃を持つ2人は、男性と出会い頭に遭遇したが、発砲せず、そのまますれ違った=2015年3月18日、チュニジア・首都チュニス(AP) 「冗談好きでおしゃれに気を使う普通の若者だった」。チュニジアの首都チュニスで日本人観光客らが殺害された博物館襲撃テロを実行したヤシン・ラアビディ容疑者(26)=治安部隊が射殺=は周囲にイスラム過激思想を語ることはなかったという。親族らは21日、犯行は「信じられない」と、戸惑いを隠せないようすだった。
チュニジア当局によると、ラアビディ容疑者は近所のモスクで過激派に勧誘され、昨年12月にリビアに密入国し軍事訓練を受けた。帰国後はテロリスト予備軍として潜伏。国際テロ組織アルカーイダに近いとされる過激派アンサール・シャリアに所属していたという。
チュニス中心部から車で約20分。ラアビディ容疑者が育ったのは、中流層が多く暮らす静かな住宅街だ。コンクリート製3階建ての自宅に両親、兄姉と暮らし、親族の一人によると「子供のころから活発で、教育もしっかり受けた」という。
遺体はまだ戻らず、自宅では親族らが祈りを続ける。近所の女性は「私の子供が泣くと、抱き上げてあやしてくれた。優しい子だった」と涙を浮かべた。
事件後、実行犯として写真や名前がニュースで流れたが、近所の住民らは一様に「まさかと思った」「彼はそんな凶悪なことができる人じゃない」と語った。
溶接業をしていた父親は退職して年金生活で、母親はいつも近所の子供たちの面倒をみている。保守的なイスラム教徒ではなく、世俗的な家族。6歳年上の兄は「家庭内で問題はなく、弟を犯行に駆り立てた理由が分からない」と嘆いた。
兄らによると、ラアビディ容疑者はコールセンターで働いた後、約2カ月前から旅行代理店で勤務。3年ほど前からイスラム過激派との関係が指摘される近所のモスクに通うようになったが、「過激思想に傾倒している様子はなかった」という。
当局がリビアで軍事訓練を受けていたと指摘する昨年12月、ラアビディ容疑者は地中海岸の商業都市で働くと言い残して1カ月不在にしていた。
事件当日の18日、家族と一緒に朝食を取った後、通常通り出勤。午前10時に休憩を申し出て職場を離れ、博物館での犯行に及んで治安部隊に射殺された。
兄は「弟は過ちを犯した。犠牲者の方々に申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と悔いる一方で、「背後で弟を操った何者かがいるはずだ」と複雑な思いをにじませた。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪米軍、イエメンから完全撤退≫
米国務省のラスキー報道部長は21日、連続自爆テロが発生したイエメンから米軍要員の撤退を完了させたと発表した。AP通信によると、撤退したのはイエメン南部にあるアナド空軍基地に駐留していた特殊部隊を含む米軍部隊約100人。今後、現地の国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力に対する無人機攻撃に影響が出るのは確実だ。
米政府は今年2月、治安状況の悪化のため首都サヌアの米大使館を一時閉鎖。特殊部隊など一部がイエメン国内に留まり、南部に拠点を置く武装勢力「アラビア半島のアルカーイダ(AQAP)」に対する掃討作戦に当たっていた。
しかし、サヌアで20日、イスラム教シーア派のモスク(礼拝所)2カ所で自爆テロが起き、140人以上が死亡したことを受け、ラスキー氏は「治安状況の悪化のため一時的に要員をイエメン国外に移動させる」と説明した。ラスキー氏はその上で、米政府として今後もハディ暫定大統領が進めてきた政権移行プロセスを支援し、テロリストの脅威を監視していくと表明。南部アデンにいるハディ氏を引き続き支援していく考えを伝えたことも明らかにした。
米国はイエメンを中東における無人機攻撃の拠点として活用。AQAPは2月、幹部の宗教指導者、ナザーリ師が米国の無人機攻撃で殺害されたことを明らかにした。2011年には無人機攻撃で、AQAPの有力幹部だったアンワル・アウラキ容疑者を殺害した。 (ワシントン 加納宏幸/SANKEI EXPRESS)
≪「イスラム国」サイトで殺害呼び掛け≫
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」を自称するウェブサイトが米軍の将兵ら100人を殺害するよう呼び掛け、100人の氏名や写真、住所だと主張する情報を掲載した。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版が21日報じた。
ウェブサイトは、イスラム国の「ハッキング部門」を名乗り、米国にいるイスラム国メンバーや支援者に決起を促す内容。シリアやイラクなどでイスラム国掃討に参加した将兵らを殺害対象にしたとしている。米国防当局や連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出した。
国防当局者によると、掲載された個人情報の多くは、公開資料やソーシャルメディアから収集することが可能で、米政府機関のコンピューターに侵入して得た内容とはみられないという。対イスラム国軍事作戦に関する報道から引用したとみられる名前が含まれる一方、作戦とは関係がない名前もあった。(共同/SANKEI EXPRESS)