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イラク軍 ティクリート一部制圧 「イスラム国」地域 米はイラン介入黙認

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イラク軍 ティクリート一部制圧 「イスラム国」地域 米はイラン介入黙認

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2月2日、イラク・首都バグダッド北方で「イスラム国」を攻撃するイラク軍=2015年(ゲッティ=共同)  イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が掌握するイラク北部の要衝ティクリートの奪還作戦を開始したイラク軍は2日、ティクリート市郊外の一部を制圧した。英BBC放送などが伝えた。戦闘は続いており、数十人の死者が出ているもようだ。

 イラク軍側は、政府に協力するシーア派民兵などを含む約3万人を動員。作戦には航空機も投入されているが、米国防総省のスティーブン・ウォーレン報道部長は2日、今回の作戦で米軍は空爆支援を行っていないと述べた。

 一方、イラクのメディアによると、隣国イランの革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官もティクリートのあるサラヘディン県に入り、イラク軍や民兵などの作戦の調整に当たっている。

 シーア派大国のイランは、イスラム国が勢力を急拡大させた昨年夏以降、同じシーア派が主導するイラク政府を支援するため、イラク国内に部隊や連絡要員を派遣している。

 今回の作戦は、イスラム国が拠点とする北部モスル奪還に向けた重要な一歩と位置づけられている。ただイラク軍はこれまでもティクリート奪還にたびたび失敗しており、作戦の成否は予断を許さない状況だ。(カイロ 大内清/SANKEI EXPRESS

 米政府筋は2日、イラク北部ティクリートの奪還作戦で、イランが支援していることを確認した。一方、国防総省のウォーレン報道部長は、この作戦に米軍は関与していないとしており、米側がイランによる介入を黙認している実態が明らかになった。

 米政府筋によると、イラン革命防衛隊(IRGC)は今回、無人機やロケット砲、迫撃砲などを投入している。だが、米軍は空爆による支援はもとより、作戦計画への助言すらしていない。

 その理由について、ウォーレン氏は記者会見で「イラクが支援を求めなかったためだ」と説明した。政府筋は「イラクが米国に要請しなかったのは、イランの支援を得たからだ」とみている。

 米政府は、イスラム教シーア派の大国であるイランの「イスラム国」掃討への介入を警戒し、協調を避けてきた。それは(1)イランの影響力が増大すれば、サウジアラビアなどスンニ派湾岸諸国が反発し、掃討作戦が複雑化する(2)イラクでのスンニ、シーア両派の対立を助長する恐れがある(3)米国が、核開発問題が未解決のイランと協調すれば、国際的に非難を浴びる-などの懸念からだ。

 スンニ派地域であるティクリートでの今回の作戦に関しても、米政府は警戒感をもって見守っている。

 米政府筋によると、イランはこれまでも、首都バグダッドの東部やティクリートなど、イラク軍がシーア派民兵に依存する地域で主要な役割を担っている。シーア派民兵がイラン軍事顧問の支援のもと、バグダッド郊外にあるスンニ派の町を奪還した例もある。

 そうした地域では米軍は作戦を支援しておらず、米軍とIRGCの支援地域の「分割化」が進んでいるという。

 米軍の作戦支援は、あくまでイラク側の要請を前提としている。このため「分割化」の傾向は、イラクによる選択の結果という側面が強いが、米国とイランの間には、互いの軍事行動には干渉しないという“暗黙の了解”があるようだ。 (ワシントン 青木伸行/SANKEI EXPRESS

 ≪ツイッターを脅迫か≫

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は2日、短文投稿サイト運営の米ツイッターがイスラム過激派組織「イスラム国」を名乗る集団から脅迫を受けており、米当局が捜査を始めたと報じた。

 報道によると、この集団は、イスラム国のアカウントがツイッター上から削除されたことを理由に、ツイッターを標的にするようインターネット上の投稿で呼び掛けた。「われわれに対する仮想の戦争は、本物の戦争を招くだろう」などと記したという。

 ツイッターは違法だったり、人道上問題があったりする投稿を発信するアカウントを随時閉鎖している。

 一方で、イスラム国は、ツイッターを利用して自らを誇示する戦略を取ってきた。(共同/SANKEI EXPRESS

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