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【奥多摩だより】新しい季節へ 東京都檜原村

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【奥多摩だより】新しい季節へ 東京都檜原村

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新しい季節へ=2006年2月12日、東京都西多摩郡檜原村(野村成次撮影)  3月も半ばになるのにまだ少し寒い。だけど確実に季節は移って、ある日を境にして奥多摩も春爛漫(らんまん)になるだろう。もうすぐ新しい年度になって、会社にも学校にも新人がやって来る。それとともに当然だが、過ぎていく人たちもいる。小生だって、幕引きの時期がそこまでやってきているのだ!

 ときおり以前の撮影データを見て、「なかなかよく撮っているな」とか「何を撮っているんだ、このヘボ!」と思うことがある。もちろん後者が圧倒的に多い。少し過去のものを振り返ってみようかと思う。

 初めて奥多摩へ行ったのは、1975(昭和50)年の夏のことだ。入社して、夏休みの企画ものに指名された。デスク側は「まあ、試しに使ってみるか」ぐらいの気持ちだから、何を撮ってもケチョンケチョン。苦い思い出だけが残っている。その後何度かは奥多摩方面へ出かけたが、ドップリとのめり込んだのはここ10年ほど。いつしか奥多摩通いが始まっていた。

 2006年の1月は寒く、どこの滝も凍っている。そんな寒波が過ぎた日、JR五日市線の武蔵五日市からバスで檜原村の藤倉というところまで行き山道を歩いた。ふと足が止まった。傍らに山の水を竹の筧(かけい)で引いてある。その下に氷の塊があり、落ちてくる水が塊を貫いているのだ。たぶん寒波のピークに、筧の周りに大きな氷ができた。それが気温が上がって溶けだし、ポタリと落ちる水滴が氷に穴をあけたのだ。その先へ行くのをやめて、飽きずに眺めていた。もっとも1週間後は、何も残っていなかった。やはり写真は、その瞬間だけが勝負なのだ。

 そんな偶然の出合いに助けられたこともあったが、駄作の山を築いたというのも間違いない。さて桜も咲く、小生の奥多摩の最後の桜になるかもしれない。(野村成次/SANKEI EXPRESS

 ■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。

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