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【奥多摩だより】沈む満月(川崎市多摩区)
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沈む満月=2014年12月7日、神奈川県川崎市多摩区(野村成次撮影) 満月が、西の奥多摩の山に沈もうとしている。撮影場所は、川崎市多摩区の拙宅のベランダ。起き上がって、今日の天候はと外を見たら月はちょうど山際で、あわててカメラを取り出した。時間は午前6時37分、ちょうど太陽が顔をのぞかせたところだ。西の空も薄く赤紫色に染まっている。月はまだ光を失っていない。その時間に奥多摩まで行くには、5時前の始発電車に乗ってもギリギリだ。というわけではないが、今回は拙宅からの写真。寒くなってきた。これを撮った日の日本海側は大雪。関東は快晴だが、さすがに風が冷たい。もうすぐ奥多摩行きには、一大決心が必要な季節になる。
満月は夕方東の空に出て、一晩かけて天空を巡り、明け方西の空にたどり着く。だから、蕪村の「菜の花や 月は東に 日は西に」。この句の月はどんな形と聞かれたら、満月となる。ちなみに菜の花でも、ヒマワリでもススキでも同じ。季節は関係ない。小学校4年生だったかの理科の問題だ。
ところが数年前、あるアマチュアの写真コンテストで奇妙な写真を見た。その撮影場所はよく知っている。明らかに西を向いて撮った写真だ。暗くなって結構人出があるから、夜明け前ではない。「春の宵の月…」といったような題がついて空に満月だ。ウソつけ! 夕方西空に満月など、天地開闢(かいびゃく)以来あり得ない。
近頃は、パソコンに慣れた人なら、合成写真を作るなど簡単なことだ。空に月をはめ込んだら、いい写真になると思ったのだろうが、これじゃ小学生にも笑われる。われわれがこんなことをしたら、間違いなくカメラマン人生が終わってしまうだろう。
奥多摩の山の月は、もちろんホンモノ。デスクも疑わない。「あのジイさん超アナログだから、パソコンで合成写真を作る能力など絶対にない!」と知っているのだ。(野村成次、写真も/SANKEI EXPRESS)