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【奥多摩だより】晩夏の雨上がり(東京都奥多摩町)

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【奥多摩だより】晩夏の雨上がり(東京都奥多摩町)

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晩夏の雨上がり=2007年8月5日、東京都西多摩郡奥多摩町(野村成次撮影)  秋めいてきた。残暑はあるかもしれないが、猛暑は過ぎた。セミの声は消え去った。どこかで秋の虫が鳴いている。そしてまた季節が移っていくのだ。

 東京都奥多摩町の海沢(うなざわ)を歩いた数年前のこと。突然の雷雨がやってきて、屋根のあるところに逃げ込んだ。夏の終わりを告げるような大音響だ。カミナリを撮るどころではない。野外で傘を差して三脚を立て、カミナリを狙うのは自殺行為なのだ。ゴロゴロドカンときたら一巻の終わり。しばらくすると雨は通り過ぎて、咲き残ったヒマワリのまわりにはトンボが群れていた。雨のおかげで、奥多摩の晩夏の光景を撮れた日だ。

 この海沢というところ、多摩川沿いの道路から少し上ったところで、下からでは集落に気がつかない。ここまで拙宅からは2時間ちょっとの、比較的近場の奥多摩だ。2時間ちょっとかと思って、ふと気がついた。

 来春、北陸新幹線が金沢まで延びる。東京から金沢まで2時間半だって! その昔、金沢に暮らして東京とよく往復した。金沢から米原まで在来線で行って、新幹線に乗り換えるか、特急で直江津か長岡を経由して上野に出るか。時間はかかるが、料金は特急が安かった。カネはないが時間はたっぷりある学生だったから、特急を選ぶ。だいたい6時間ぐらいだ。弁当を食って、車窓の景色を見ていた。酒を飲んで酔っ払った記憶はない。もっとも車内で勉強した記憶などは、全くない。冬場の豪雪地帯と荒れる日本海は楽しみだった。その行程が2時間半! 冗談ではない、居眠りする時間もない。日本海側のあの古都が、そんなに近くなるなんて。それじゃ、昔の女子学生を訪ねてみようか。

 しかし奥多摩は何度行っても、遠い。(野村成次、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。

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