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【奥多摩だより】遙かな山の民家(東京都檜原村)
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遙かな山の民家=2011年4月24日、東京都西多摩郡檜原村(野村成次撮影) 東京都の西端、檜原村(ひのはらむら)の山中に江戸時代中期に建てられた民家が残っていた。JR五日市線の武蔵五日市駅からバスで終点の藤倉へ。そこから30分以上急な坂道を登ったところだ。標高は約750メートル、小林家住宅という。入り母屋造りの堂々たる建物で、このあたりの組頭を務めた人の家だという。築400年ほどで国指定の重要文化財。なんでこんな山中にと思える場所で、周辺にはコンビニはおろか、お隣さんすらない全くの一軒家だ。ここを訪れたのは3年前の4月下旬で、ヒイヒイ言いながらたどり着いた小林家の周りには、ピンクのミツバツツジが咲き誇って、疲れた小生をいたわってくれた。
花の季節に、ハイキングでやってくる人も多く、サル、シカ、イノシシは常連だ。「その先の草むらには気をつけて、彼らの排泄(はいせつ)物がいっぱいありますから」と出会った人が注意してくれた。それは事実だった。ほぼ毎日やってくると聞いた。だけど、こんな山中に暮らすのは寂しいだろう。ここで星空を見たら美しいと思うが、オバケが出る確率もかなり高い。そう考えたら明るいうちの下山を即座に決めた。
この小林家住宅、その年の暮れから修復工事にかかって、現在も進行中だ。実質3年以上の日数をかけて準備、解体、調査、組み立てと進んでいく。さすが重要文化財だ。拙宅のようなウサギ小屋を建て直すのとはワケが違う。今のところ新しく公開されるのは、あと1年後の予定だ。この冬の2度の大雪は大変、1メートル以上の積雪で、近づくこともひと苦労だったようだ。
下山の途中で、斜面から何かが崩れてきた。石かと驚いたが、滑ってきたのは黒いイノシシ! 向こうは必死で逃げていった。(野村成次、写真も/SANKEI EXPRESS)