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【奥多摩だより】梅林に惜別(東京都青梅市)

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【奥多摩だより】梅林に惜別(東京都青梅市)

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梅林に惜別=2006年3月25日、東京都青梅市(野村成次撮影)  東京都青梅市にある吉野梅郷の「梅の公園」は、春の奥多摩観光の超人気スポットだ。いつもは乗降客が少ないJR青梅線の日向和田(ひなたわだ)駅も、梅の季節はラッシュアワー並みの混雑。例年約10万人の観梅客が訪れるところだ。それが今年の梅を最後に、当分見納めとなる。

 かつては120種、1700本以上の梅があったが、2009年、青梅市内で日本初の、梅の成長を阻害する「プラムポックスウイルス(PPV)」の感染木が確認された。人や動物には感染しないが、果実の成長を阻害し表面に斑紋が出て商品価値がなくなるため、伐採せざるを得ない。公園の梅は1200本まで減少した。PPVはなお猛威を振るい、被害の拡大防止と根絶のため、市では今年の「梅まつり」の終了後、公園の梅を全て伐採することに決めた。もちろん公園内だけではない。個人の農地や庭でも感染が確認されれば、周囲を含めて伐採していくため、市内の梅はどんどん減っているのだ。

 これは、毎年楽しみにしている小生にも残念なことだ。雪に包まれた梅園も、満開の梅園も見た。大雨の日に梅を見に来たこともある。シーズンが過ぎても初夏に、ホタルの話を聞いて夜に来たこともあった。

 ここが再生するのには、少なくとも7年はかかるという。植物防疫法の規定で、3年間感染のないことを確認しなければ新しい梅を植樹できない。再び満開の公園が見られるのは、いつになるだろうか。今年は雪の影響で梅の開花が遅れている。咲き終わったら切られてしまうぞ、ゆっくり咲こうかと話し合っているのだろうか。

 今回の写真は2006年の春。PPVという悪魔が確認される前の、梅たちには平和だったころのものだ。こんな満開の光景が早く見られることを願っている。(SANKEI EXPRESS

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