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【奥多摩だより】落ち葉が流れて(東京都青梅市)

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【奥多摩だより】落ち葉が流れて(東京都青梅市)

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落葉の流れ=2007年11月14日、東京都青梅市(野村成次撮影)  今年もあとわずか。小生のような年齢になれば、1年が過ぎるのが何と早いことか。1日はあっという間、1週間もすぐだ。残り少なくなった人生が、どんどん削られていくような気分だ。もっとゆっくり時が過ぎろと言いたい。「1日が100時間あれば、少しはゆっくり過ごせるのに。勤務時間が日に30時間でもいい」とつぶやいたら、「冗談でしょう。あんたにそんなにつきあってられません」と若いのに冷たく言われた。もっともなことだ。秋は瞬く間に過ぎていった。次の締め切りも瞬く間にやってくる。

 奥多摩を歩くテーマの一つは水系だ。だから川に沿って歩くことが多い。桜の季節など、ハラハラと散る花びらが流されていくところに出合うと、ラッキーなんて思ってしまう。秋から冬にかけては落ち葉が狙い目だ。流れの渦巻きに葉が巻き込まれているのを見たらもう動けない。気が済むまで撮ってしまう。

 数年前の東京都青梅市の御岳山。岩石園と呼ばれるところの流れに、木の葉が散っていた。流れた葉はよどみでゆっくりと円を描く。色彩の異なった葉は、水のカンバスに見事な絵画を描いてくれる。撮っている間にも葉が降ってきた。数日間盛んに散ったらそのあたりは明るくなる。頭上の葉がすっかり無くなって裸木で、光が差し込んできたのだ。そしてまた季節が移っていく。あっという間の秋。

 この山でどれだけの葉が散るのだろうか。早く散るのもあれば、ゆっくり散るのもある。あんたも早く散ってしまえという非情な言葉に知らん顔をして、会社の濡れ落ち葉といわれようとも、まだまだ来年も頑張るぞ!

 それではよいお年を。(野村成次、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。

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