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【奥多摩だより】川霧の朝(川崎市多摩区)

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【奥多摩だより】川霧の朝(川崎市多摩区)

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川霧の朝=2013年11月26日、神奈川県川崎市多摩区(野村成次撮影)  低気圧が通り過ぎた朝、川崎市多摩区の拙宅から見える奥多摩の山は雪化粧をしていた。本格的に冬がやってきたのだ。もっとも山頂付近はともかく、小生が歩き回っている範囲の奥多摩が雪に閉ざされてしまうことはない。ひと冬に何度か雪に見舞われても、すぐに消えてしまうのだ。ある時など奥多摩の駅に早朝に着いて、雪を踏み分け坂道を滑りながら歩いたのに、昼過ぎにはほとんど消えてしまった。逆に川に張った氷を狙いに行ったが、雪に埋もれてしまって、何も見えなかったこともある。自然相手の撮影は、思いどおりにはならないものだ。今年初めての雪景色も、数日後には白さが薄らいでいた。

 この時期、多摩川の夜明けには川霧が発生することがある。前夜に雨が降って、湿度が高くなっていたのだろう。ある朝の川岸は煙っていた。結構深い霧だ。対岸の調布市まですっかり覆われている。早朝に散歩して、いつも狙っているのだが、なかなか満足のいく光景には出合わない。この日は上出来の部類だ。堤防から下の河川敷など真っ白で、ここまで包まれれば人影も隠れてしまう。その中では安心して用が足せるほどだ。

 交通機関に乱れが生じることもあるが、ムード満点の自然現象だ。だから多くの歌にも登場する。「霧にむせぶ夜」、「夜霧よ今夜も有難う」、「霧の摩周湖」…。曲は哀愁を帯びたものが必要で、霧の中から登場する女性は清楚な人でなくてはならない。ケバいのはダメだ。もっとも、歌も女性も、多摩川のようにきれいな霧だからこそ似合うのであって、隣の国の、何が含まれているか分からないような汚れた霧では論外だ。

 河川敷の霧は、日が昇るとたちまち消えてしまった。さあ出勤時間だ。今回は、多摩川中流域から。(野村成次、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。

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