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【奥多摩だより】金髪のかかし(東京都あきる野市)

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【奥多摩だより】金髪のかかし(東京都あきる野市)

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金髪のかかし=2014年9月21日、東京都あきる野市(野村成次撮影)  青空に雲が流れていた。秋本番だ。コスモスが咲き乱れ、ススキが風に揺れる。無数のトンボが飛び交って、稲田は刈り入れを待っていた。秋の田園風景を探して今年も訪ねたのは、東京都あきる野市の横沢入(よこさわいり)。ここは「横沢入里山保全地域」に指定された、東京に残る数少ない里山だ。

 JR五日市線の武蔵増戸駅と武蔵五日市駅の中程を北に入ったところで、周囲を小高い山に囲まれたこの地域は、いつ来てもホッとさせてくれる。休日にはハイキングに来るグループも多い。3年前の初夏、「横沢入タンボの会」の人たちが田植えの準備をしているところに偶然行き会わせ、それからホタルの時期、秋の収穫祭と取材をさせてもらった。横沢入がきちっと維持管理されているのは、この人たちの協力に負うところが大きい。

 今年もかかしが立っていた。懐かしいものだ。スズメがその肩や頭にのんびり留まっているから、その効果は疑問だ。今年は田の周囲に電流が流れる柵が設置されて、「イノシシが荒らすので」と注意書きがあった。以前は、京都の庭園にもある「鹿威し(ししおどし)」があり「コーン、カーン」と音を響かせていたが、効果が見込めなかったのか。風情がないと言っても、現実の効果を求めるためには、実力行使もやむを得ないのだろう。もっともイノシシだって生きるためには、強奪と非難されても食料を獲得しなければ、と心優しい小生は握り飯を食べながら、両方の共存について考えていたのである。

 かかしは数種立っていた。なかでも心ひかれたのは金髪のものだ。どうも誘惑されそうになる。この山の中でそんなかかしに誘惑されたらどうなるのだろう。一本足に固定されて、両手を広げて、どうやってビールを飲めばいいのだろう。でも金髪の魅力には負けそうだ。(野村成次/SANKEI EXPRESS

 ■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。

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