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経済
「ロシア版マック」で愛国推進 自前ファストフード育成 プーチン盟友・映画界巨匠が発案
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昨年8月に一時閉鎖に追い込まれた後、11月に営業を再開したマクドナルドのロシア1号店=2014年11月20日、ロシア・首都モスクワ(タス=共同) ウクライナ危機をめぐり国際社会から孤立するロシアが、米ハンバーガー大手、マクドナルドに対抗する自前のファストフードチェーンを育成する計画をぶち上げた。ウラジーミル・プーチン露大統領(62)の盟友で愛国主義者で知られるロシア映画界の巨匠監督が発案し、資金の大半を政府が融資するというもので、スローガンは「国内で食べよう」。米欧の経済制裁に対する報復として、国内のマックの店舗を一時営業停止とするなど締め付けてきたが、今度は「ロシア版マック」を育て国民の愛国心を高めようともくろんでいるようだ。
計画を発案したのは、映画監督のニキータ・ミハルコフ氏(69)と、その兄でやはり映画監督のアンドレイ・コンチャロフスキー氏(77)。ミハルコフ氏は、「太陽に灼かれて」(1994年)で米アカデミー賞の外国語映画賞と仏カンヌ国際映画祭のグランプリを獲得した輝かしい経歴を持つ。
露経済紙コメルサントによると、この兄弟はプーチン氏に、「輸入品と西洋のファストフードチェーンを、国産品と国内チェーンに転換することが、この計画の目的である」との書簡を送り、協力を要請。さらにミハルコフ氏が3月にプーチン氏と面会して直談判した結果、検討を任されたアルカジー・ドゥボルコビッチ副首相(43)が9日にゴーサインを出した。総事業費10億ルーブル(約22億9000万円)のうち約7割を政府が融資することを約束したという。
計画によると、チェーンは「国内で食べよう」をスローガンに掲げ、モスクワなどでカフェレストラン41店とフードスタンド(屋台)91店を展開。ボルシチやピロシキといった伝統的なロシア料理を提供する。食材はすべて全て国内産を使用。メニューの3~4割は各地方の郷土料理になるとしている。
ロシアによる昨年3月のウクライナ東部クリミアの併合や親ロシア派武装勢力への支援をめぐり、米欧は相次いで経済制裁を発動。これに対し、ロシアは欧州産食品の輸入禁止などの対抗措置を取った。昨年8月には当局が国内で400店を展開するマクドナルドに対し、衛生法違反を理由に一部店舗を営業停止にしたり、違法販売で提訴するなど締め付けを行っている。
プーチン氏は、経済制裁の影響で米国のクレジットカードが使用停止になった際に、日本のJCBカードなどを成功例に挙げ、自前の決済システムを開発する方針を打ち出した。今回の自前チェーンも、「米欧に依存しない姿勢」を示す狙いがあるとみられる。
こうした魂胆が見え見えなだけに、反プーチン派からは非難の声が上がっている。政治的対立で辞任させられたアレクセイ・クドリン元財務相(54)は「中小企業に危害を与える」と批判。プーチン氏批判のゲリラライブでメンバーが拘束された女性ロックバンド、プッシー・ライオットの弁護士はツイッターに「これが『国内で食べよう』と銘打ったファストフード店のメニューだ」と書き込み、刑務所で出されるおかゆとパンの写真を投稿し皮肉った。
マックの店舗はその後、再開したが、ウェンディーズやカールスJr.などの米チェーンは相次いで撤退を決めており、ロシアの孤立は深まるばかりだ。(SANKEI EXPRESS)