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夢だったシチュエーションコメディー 映画「王妃の館」 水谷豊さんインタビュー

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夢だったシチュエーションコメディー 映画「王妃の館」 水谷豊さんインタビュー

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「シチュエーションコメディーに挑戦するのは昔からの夢だった」と語る、俳優の水谷豊さん=2014年4月16日、東京都港区(宮崎瑞穂撮影)  次なる主演映画「王妃の館」(橋下一監督)の役名を知った水谷豊(62)は一瞬驚いた。「『うっ、北白川右京…』。5秒ぐらい、僕はそんな気持ちになりましたが、北白川右京をしっかりと演じていこうと、すぐに気持ちを切り替えました」。右京と言えば、水谷主演の人気刑事ドラマ「相棒」シリーズ(テレビ朝日系)の主人公、杉下右京を真っ先に思い浮かべるファンも多いだろう。今度の右京は同じ天才でも刑事ではなく、スランプに陥った小説家だ。

 原作は作家、浅田次郎(63)の長編小説「王妃の館」。浅田ファンを公言する水谷は「これまで浅田作品が原作となった映画とは縁がなかったのでうれしいですし、それ以上に長年の夢だったコメディー映画への出演もかなったので、感激しています。僕は欧米の『シチュエーションコメディー』を見て育ちました。子供のころからコメディーが大好きだったんです。チャプリンが好きだったこともありますね。『王妃の館』は思い出深い作品となりました」と語り、満面の笑みを浮かべた。

 北白川右京(水谷)は新作小説の執筆のため、パリの超一流ホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」(『王妃の館』の意)に宿泊し、王様気分を味わえる豪華ツアーに参加した。パリの街からインスピレーションを受け、右京は快調に筆を走らせることができたのだが、実はこのツアー、倒産寸前の旅行会社が食いつなぐためにひねり出した大胆な詐欺企画だった。旅行会社はやはり経営難に陥っていたホテルとグルになり、1つの部屋をまったく別の日本人ツアー客たちにも同時に格安で提供し、急場をしのごうとしていたのだが…。

 自分を変えないこと

 水谷は観客の方が思わず恥ずかしくなってしまうような、わざとらしく緻密に作り込んだ演技を好まない。「僕は(小学校の熱血先生を演じた代表作)『熱中時代』(日本テレビ系、1978年)のときもそうですが、俳優として作品に向かう姿勢があるとすれば、それは『自分を変えないこと』だと思っています。演技を通して自分が自然に変わるのがいいですね。だって、あの北白川右京のヘアスタイルとファッションになれば、自然と気分も変わってきますでしょ? 僕はね、芝居をしているときはほとんど北白川右京でいますから。当たり前のようにそこにいるんですね」

 役者として次はどんな挑戦をしたいのだろう。「結局、人に興味あるんですね。人って何だろう? こういうとき人はどうあるべきなんだろう?とね。そのことへの興味だけで僕は俳優をやってきたところがあるんです。今回、コメディーと名のつくものに出演できて、夢がかないました。また、コメディーを探して演じてみたいです」。実は、映画監督や脚本執筆への挑戦に関心がないわけではなく、水谷は「よくこんなにも長く俳優を続けてこられたなあと思っています。ここまできたら、それもいいですね」と力強く語った。4月25日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:宮崎瑞穂/SANKEI EXPRESS

 ■みずたに・ゆたか 1952年7月14日、北海道生まれ。テレビでは、74年「傷だらけの天使」、78年「熱中時代」(いずれも日本テレビ系)、2000年~「相棒」シリーズ(テレビ朝日系)など。映画では、08年~「相棒-劇場版-」シリーズ、12年「HOME 愛しの座敷わらし」、13年「少年H」(モスクワ国際映画祭で特別作品賞を受賞)など。妻は女優、伊藤蘭。

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