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今度は自分がチビっ子に夢を 俳優 竹内涼真さんインタビュー
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俳優、竹内涼真(りょうま)さん=2014年12月3日(兼松康撮影) かつてサッカーのユースチームに所属していた竹内涼真(りょうま、21)は、いずれはプロに進んでチビっ子たちに夢を与える存在になりたい、と真剣に考えていた。サッカーを始めて16年、来る日も来る日も練習に明け暮れた結果、上背185センチの屈強な若者へと成長を遂げたが、ほどなく厳しい現実を突きつけられた。
「実は本当にサッカーがうまい人なんて、ピンからキリまでいると分かったんですよ。実際、僕の周囲では何人もプロのサッカー選手になりましたしね。僕は自分の力に限界を感じてサッカー選手になることを断念しました」
きっぱりと夢を諦め、芸能界を歩み始めたばかりの竹内のもとへ思いがけないオファーが舞い込んだ。それは世代を超えて絶大な人気を誇る正義のスーパーヒーロー「仮面ライダー」への華麗なる“変身”だった。ニューヒーローの名は「仮面ライダードライブ」、変身するのは警視庁特殊状況下事件捜査課の泊進ノ介巡査だ。
仮面ライダードライブの愛車はオートバイではなく自動車だ。聞けば、それは40年以上の歴史を誇る仮面ライダーシリーズでも初めての試みだったという。チビっ子たちに夢を与えるという意味において、仮面ライダーを襲名することは、プロのサッカー選手に負けないくらい、やりがいのある大切な仕事に違いない。竹内は大喜びで新たな一歩を踏み出した。
昨年、芸能界に飛び込んだばかりの竹内は、仲良しの友達たちに対し、「いつの日か俺は絶対に仮面ライダーの主人公を射止めてみせる」と夢を語り続けてきたそうだ。念ずれば通ず-。大言壮語ではなく「有言実行」となった。
「父もおじも仮面ライダーファンだったから、僕がファンになるのは自然の成り行きでした。何と言っても、仮面ライダーの魅力は、正義の味方であることと、かっこいいことですね。仮面ライダーは幼かった僕に夢を与えてくれたけれど、今度は僕がチビっ子たちに夢を与えなければなりません。責任重大です」
今年10月から「仮面ライダードライブ」のテレビ放映がスタートすると、竹内は街で大勢の仮面ライダーファンから声をかけられるようになった。面白いことに、仮面ライダードライブのファンは男性が多いというのが実感だ。竹内の見立てでは、進ノ介の風貌にその秘密があるという。
進ノ介は髪の毛をきっちりと6・4に分け、スーツを着こなし、きちんとネクタイを締めている。典型的なサラリーマンの姿といえよう。「僕の知る限り、スーツ姿の主人公の登場なんて、歴代の仮面ライダーの面々を見ても、ありそうでないんです。だからこそ進ノ介は男性受けするんでしょう。先日、プロモーションイベントに参加したら、客席にいたおじさんたちが『進ノ介ー!』『進ノ介ー!』と大声援を送ってくれたんですよ。それも悪くはないですね」。若い女性ファンの獲得についてはイケメンの悪役3人に任せておいても一向に構わない。「男性ファンをごっそり持っていってしまおう」という魂胆だ。
そんな竹内が仮面ライダーの先輩にあたる「仮面ライダー鎧武(がいむ)」(佐野岳)とのダブル主演で、初めて映画に出演することになった。今月13日から全国で公開される人気シリーズ最新作「仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル」(柴崎貴行監督)だ。竹内は「ドライブにとっては初めての映画ですが、鎧武の岳君といいコンビネーションで悪者をやっつけることができました。物語はテレビ放送の内容ともつながりがあり、心温まる作品に仕上がっています」と太鼓判を押した。
まだ俳優の駆け出しである竹内の演技の勉強方法といえば、積極的にテレビの刑事ドラマを見ることだという。もちろん、進ノ介が警察官だからだ。
「『相棒』(テレビ朝日系、水谷豊主演)やアメリカの『24-TWENTY FOUR-』を何度も見直しましたね。ずっと24時間、警察官の仕事を追う密着番組もよく見ます」。
仮面ライダードライブの撮影現場では共演者たちの演技に目を光らせ、「例えば、表現の方法が分からなかったら、片岡鶴太郎さんらにどんどん質問をぶつける。その繰り返しでした」。まずはうまい人たちの演技を盗むのが喫緊の課題らしい。
ただ、正義の味方、仮面ライダーを演じるうえで、演技力以上に、それ相応の気高い心構えが必要だ、とも考えている。「ただ何となく安易な気持ちで仮面ライダー役を引き受けてしまっては、仮面ライダーのあるべき姿に決して近づけないでしょう。自分の心の弱さや何らかの葛藤に向き合って、戦いながら、自分自身も成長していくことによって、初めて1人の仮面ライダーとして悪者と戦える存在になれると思うんです」(文:高橋天地(たかくに)/撮影:兼松康/SANKEI EXPRESS)