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【欧州サッカー】スペインサッカー ストは回避 格差是正にノー 牛耳る金満2強

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【欧州サッカー】スペインサッカー ストは回避 格差是正にノー 牛耳る金満2強

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伝統の一戦「クラシコ」で対決するFCバルセロナのリオネル・メッシ選手(手前)とレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナルド選手。世界的大スターの競演が見られるのも、2強が莫大な放映権料で潤っているからだが、格差は放置できない段階にきている=2015年3月22日、スペイン・カタルーニャ自治州バルセロナ(AP)  世界屈指の金満プロスポーツチームとしても名高いFCバルセロナとレアル・マドリードの2強による優勝争いが佳境を迎えているサッカーのスペインリーグ(リーガエスパニョーラ)が、テレビの放映権問題で揺れている。「格差是正」のため、放映権料のリーグ一括管理をスペイン政府とプロサッカーリーグ機構(LFP)が提起し、立法化。これに2強が主導するスペインサッカー連盟(RFEF)とスペインサッカー選手会(AFE)側が猛反発、一時はストライキを敢行して今季(2014~15年シーズン)を打ち切る構えを見せたのだ。結局、ストは回避されたが問題解決には至っておらず、推移が注目される。

 放映権料分配に反発

 スペイン議会は4月30日、現在は原則としてクラブごとに個別に契約交渉していたテレビ放映権料をリーグで一括管理し、1部リーグの各クラブに90%、2部の各クラブには10%を配分するとした法案を可決した。チームごとの分配率などの細部は決まっていないが、一括管理の方針は決まり、レアルとバルセロナが反発した。

 テレビ放映権料は、スポンサー収入と並び、名門クラブにとって大きな収入の柱。全スポーツを通じて世界一リッチなクラブとして知られるレアルは、昨季、5億4950万ユーロ(約750億円)の総収入があり、このうち放映権収入は2億400万ユーロ(約278億円)で37%を占めた。バルセロナも昨季は総収入4億8460万ユーロ(約661億円)のうち放映権収入が1億8200万ユーロ(約248億円)と38%も占めた。ちなみに日本のJリーグが一括管理している放映権料は年間約50億円にすぎず、スペイン2強の規模の大きさがうかがえる。

 裁判所が中止命令

 スペインリーグで昨季3位の総収入があったアトレティコ・マドリードが1億6990万ユーロ(うちテレビ放映権料は9600万ユーロ=約131億円)。スペイン内でも2強の突出ぶりが顕著だ。当然、財力は戦力に反映され、スペイン1部リーグの優勝チームは過去10年、アトレティコが優勝した昨季を除き2強が独占(バルセロナ6回、レアル3回)している。

 こうした格差を是正しようというのが一括管理法案の趣旨だが、2強にとっては収入が大幅に減るのは必至。2強が牛耳るRFEFとAFEは法案可決後、16日以降のリーグ戦(1部は残り2試合)と30日のスペイン国王杯決勝をストで中止にすると発表した。これに対してLFPは法的手段に訴え、スペインの裁判所は14日、「ストは組織の秩序を乱す原因となる。正当な理由がない」としてスト中止を命じ、RFEFとAFEも渋々応じた。

 「立場は不変」強調

 AFEのルイス・ルビアーレス会長(37)は「裁判所は放映権に関するわれわれの主張を認めなかったわけではない。新法を見直す交渉のテーブルが設けられない限り、われわれの立場は不変だ」と話している。

 まだまだ波乱含みだが、世界的潮流は一括管理である。イングランド、ドイツ、イタリアの各リーグも今では放映権料は一括管理されている。野球の米大リーグも全国放送分については大リーグ機構が一括管理している。このままスペインリーグの格差が広がれば、「2強栄えてリーグ枯る」となり、目玉はクラシコ(レアル対バルセロナの伝統の一戦)だけになりかねない。(SANKEI EXPRESS

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