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7千人がメッシ級の天才? 中国サッカー「3つの夢」実現へ国家プロジェクト
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中国東部の浙江省杭州で、体育の授業中にサッカーに興じる小学生たち。中国は今後2年で2万校のサッカー学校を設立して若い優れた才能を発掘し、W杯制覇への夢に近づこうとしている=2015年3月18日(AP) サッカー好きで知られる習近平国家主席(61)の「3つの夢」を反映させる形で、中国が国家プロジェクトとしてサッカーの強化に乗り出した。3つの夢とは、(1)男子代表のワールドカップ(W杯)出場の常態化(2)W杯の自国開催(3)W杯優勝-を段階的に達成するというもので、中国国務院(内閣に相当)は先週、「中国サッカー改革・発展のための総合プラン」を公布した。プランの骨子は、国策としてサッカーの競技人口を増やして優れた才能を見いだし、強化・育成を図るというもの。このトップダウン方式の強化策は、五輪のメダル獲得合戦では著しい成果を挙げており、日本も手をこまねいている場合ではなく、相当な警戒が必要だ。
総合プランは50条から成り、まず、2017年までに全国に小中学生を対象としたサッカー学校を2万校設立し、合わせて30の育成重点地区を立ち上げるとしている。その結果として、10万人の本格的サッカー選手を誕生させ、優れた選手はスペインやオランダなどの欧州チームに積極的に“留学”させるという。
さらに、国民のサッカー熱を一段と高めるために、今後10年以内に全国に数百カ所のサッカー専用競技場を新設する。また、代表チームのレベルアップと密接な関係にある中国のプロサッカーリーグ「スーパーリーグ」(16チーム)を盛り上げるため、来年には世界的スター選手35人以上をリーグに呼べるよう、運営企業に金に糸目を付けない獲得を呼びかけている。
総合プランの中では、習氏の「3つ夢」の(1)と(2)の実現については明記されたが、W杯優勝は記述が見送られた。しかし、習氏は訪中した各国外交団との会談などで、これまでに何度も「個人的な夢」として中国のW杯制覇について言及していることが中国メディアでも報じられており、優勝まで視野に入れていることは間違いない。
習氏は自身が主宰する共産党の「全面的な改革深化のための指導グループ」の会議で先月、「中華民族の偉大なる復興の実現という『中国の夢』はスポーツ強国の夢と密接な関係がある。そして、サッカーの発展と振興こそはスポーツ強国を建設する上で必然的な要求だ」と力説したとされる。
ただ、中国男子代表の現在のFIFA(国際サッカー連盟)世界ランキングは83位(日本は53位)。過去のW杯出場は、2002年の日韓大会一度だけで、この時は3試合で1点も取れずに1次リーグで敗退した。夢を見るのは勝手だからどうぞご自由に、とでも言いたくなるが、当の中国は政府のみならず、国民も自信ありげだ。
中国のネット上では現在、イングランドプレミアリーグの名門、アーセナルが発表した研究データが話題になっている。データは、「(アルゼンチン代表、FCバルセロナの)メッシ選手級のサッカーの天才は、見いだされるか否かは別にして、人口20万人に1人の割合で潜んでいる」というもの。この文言をとらえてネット上では、「中国の人口は14億人だから、7000人のメッシが潜在的にいることになる。1000人に1人見いだせるだけでもメッシが7人。実現したら大変な代表チームができる」などといった書き込みがにぎわいをみせている。
日本もうかうかしていられない。代表同士の戦いでは、まだ日本は中国より優位にあるが、クラブチーム同士の戦いでは今や、日本が完全に劣勢だ。また、年齢制限別のアンダー世代の日本代表は近年、アジア1位どころか世界大会へのアジア代表にすらなれていない。中国の動向に注目するとともに、相当な覚悟を持った抜本的強化策が日本にも必要な時だ。(SANKEI EXPRESS)