ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
経済
格差是正へ賃上げ FB英断 契約社員の最低時給1800円に
更新
3Dプリンターを使い、プラスチックで製作されたフェイスブックのロゴ=2015年11月13日、ボスニア・ヘルツェボビナ中部ゼニツァ(ロイター) 交流サイト(SNS)世界最大手の米フェイスブック(FB)は、本社などで働く契約社員らの最低賃金を、本社があるカリフォルニア州の定める最低賃金より6ドルも高い時給15ドル(約1800円)に設定し、最低15日間の有給休暇と4000ドル(約47万7000円)の児童手当も支払うことを明らかにした。物価高が続くシリコンバレーで彼らの生産性を高めるには賃上げが不可欠と判断した。“超格差社会”の米国で苦しむシリコンバレーの派遣労働者らも加盟する労働組合はFBの英断を歓迎し、派遣労働者の最低賃金引き上げを主張する米オバマ政権もFBの企業姿勢を高く評価している。
「今回の決定は、われわれのビジネスとコミュニティーにとって正しい行為です」「われわれは、FBを世界につなげるために尽力する人々に、安全で公正な職場環境を提供する義務があります」
FBのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO、45)は13日、今回の賃上げ策の狙いなどについて、FBの公式ページでこう説明した。
それによると、対象は本社などで清掃作業や社員食堂で働く契約社員に加え、FBの業務をサポートする社員25人以上の米企業の従業員にも適用。有給休暇は「休日や病欠、旅行などのため」で、児童手当は、育児休暇が取れない契約社員に対し、生まれた子供1人につき4000ドルを支給。「家族のつながりを強め、子供の健康を向上させる重要な一歩」と位置づけている。
ロイター通信や米CBSニュース(電子版)などによると、高給取りで知られるIT業界の社員の大量流入で、2014年にはシリコンバレーを抱えるカリフォルニア州の生活コストが全米6位(米ミズーリ州経済研究情報センター調べ)の高水準に。
とはいえ高給取りはあくまで正社員の話。FBやグーグルでは、警備や設備のメンテナンスといった雑務は低賃金の契約社員が一手に担っており、昨今の物価高もあって、正社員との報酬格差が問題化していた。
そこでグーグルは昨年、社員向けのシャトルバスの運転手やオフィスの駐車場の誘導係、社内のカフェの従業員らの最低賃金をいち早く時給15ドルに改善するなど、格差縮小の動きが活発化していた。
今回のFBの時給15ドルという金額は、シリコンバレーのお膝元、サンフランシスコの12.25ドル(約1460円)よりも高く、米国の連邦最低賃金である時給7.5ドル(約890円)の2倍にあたる。物価水準などの違いから一概には比較できないが、日本の最低賃金は2014年度の都道府県別で最も高い東京都で888円、2番目の大阪府が838円、全国平均が780円だ。逆に最も安かったのは高知、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄の各県でいずれも時給677円となっている。
米国の労働組合はFBの時給引き上げに大喜びだ。米最大級の労組「国際サービス従業員労組(SEIU)」の西部代表、デビッド・ウエルタ氏は「今後もFBのような良き企業市民とともに、派遣などサービス労働者の権利尊重のために尽力したい」と歓迎する声明を発表した。
米国では、国民の支持を広げるために連邦最低賃金の引き上げを画策するリベラルな民主党のオバマ政権に対し、上院・下院で共に過半数を占める保守的な野党・共和党は、経済界の意向を受けて賃上げに強く反対している。それだけに、今回のFBの英断についてホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官(38)は「FBのような企業が慈善の賃上げはしない。彼らは自社のビジネスにとってよかれと判断したのだ」と称賛し、他の米企業にも賃上げ問題をリードするよう促した。(SANKEI EXPRESS)