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社会
【イスラム国】イラクの要衝を制圧 中西部ラマディ 奪還作戦は難航か
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イラクの首都バグダッド郊外にラマディから避難してきた人々=2015年5月17日、イラク・アンバル州ラマディ(AP) イラク中西部アンバル州の州都ラマディに進撃していたイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」を名乗るグループが17日、インターネット上に声明を出し、ラマディ全域の制圧を宣言した。AP通信などが報じた。
一部で戦闘は続いているもようだが、ラマディのイラク軍司令部は制圧され、州知事報道官も17日、戦略上の要衝であるラマディの陥落を確認した。昨年8月から空爆を続ける米軍主導の有志国にとっても最大の打撃となった。
制圧から一夜明けた18日、イラク軍は態勢の立て直しを急いだが、「イスラム国」はラマディ周辺に戦闘員を集中させているとみられ、奪還作戦は難航しそうだ。
声明は、「イスラム国」の戦闘員がラマディで多数のイラク軍兵士を殺害し、基地を占拠したと指摘。放棄された戦車やミサイル発射装置を奪取したと主張している。
アバディ首相は17日、イスラム教シーア派民兵組織にアンバル州への進攻準備を指示した。ただシーア派民兵の大量投入はスンニ派住民の反発を招き、宗派対立の激化につながりかねず、政府内には慎重な意見もある。
米国防総省は17日、米軍など有志国がイラク軍の奪還作戦を支援していく考えを表明した。APによると、有志国側は17日、ラマディで空爆を実施したと発表した。
「イスラム国」は14日から15日にかけてラマディに進撃し、政府庁舎などを制圧、「イスラム国」の旗を掲げるなど全域を制圧する勢いを見せていた。
フランス公共ラジオによると、14日以降の治安当局や市民の死者は、約500人と推定され、逃げ遅れた市民が虐殺される恐れがあるという。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪シーア派民兵投入、米国と亀裂の恐れ≫
「イスラム国」のイラク中西部アンバル州の州都ラマディ制圧に対し、アバディ首相が方針を示したシーア派民兵組織の投入は、成果を期待できる一方、宗派対立を招きかねないもろ刃の剣だ。民兵はシーア派大国イランの支援を受けるため、介入を警戒する米国と、歓迎するイラク政府の間で亀裂を生む恐れがある。
「速報。イスラム国のライオンたちがラマディ中心部の大モスク(礼拝所)前に」。ツイッター上では17日、「イスラム国」の支持者たちが、青いドームを備えたモスクの前で銃を構える3人の戦闘員の写真を拡散させた。
英BBC放送は、土煙を上げながら敗走するイラク軍の車両の映像を繰り返し放送。アンバル州奪還を目指す首相は面目をつぶされ、スンニ派側からの異論が絶えないシーア派民兵組織に頼らざるを得ない状況に追い込まれた。
士気が高く、訓練を積んだシーア派民兵は3月末、難航していた北部ティクリート奪還を果たした功労者のはずだった。しかし、スンニ派住民が多い現場では事前の懸念が的中し、奪還後にシーア派民兵による略奪や放火が次々に判明した。
このためスンニ派の間では、スンニ派が大半を占めるアンバル州や北部モスルへのシーア派民兵の投入を拒否する意見が相次いだ。首相は最近、スンニ派志願兵部隊の結成式にわざわざ出向き、スンニ派住民が抱く懸念の払拭に努めていた。
ティクリート作戦で浮き彫りになったのはシーア派民兵の指揮権のあいまいさだ。形式的には首相が最高司令官だが、実態は寄り合い所帯。戦闘員は各勢力のリーダーの指示には従うが、全体の統制が欠けていた。
また、作戦にはイランの革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が参加していた。イランの介入を警戒する米国は当初、作戦と距離を置き、イラク政府による明確な指揮を要請した。
シーア派民兵は「作戦は数日で終わる」と豪語したが、ティクリートを奪還できたのは米国主導の有志国が周辺への空爆を再開した後だった。作戦開始からは1カ月近くが経過していた。アンバル州でも同じことが繰り返される可能性が高く、イラク政府はシーア派民兵投入に米国の理解を得る必要に迫られそうだ。(共同/SANKEI EXPRESS)