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絶望、孤独…死が漂う「自画像」 「没後30年 鴨居玲展 踊り候え」

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絶望、孤独…死が漂う「自画像」 「没後30年 鴨居玲展 踊り候え」

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 戦後間もない美術界は、さまざまな価値観が入り乱れていた。戦前から日本に影響を与えていたシュールレアリスムや、戦後の日本で吹き荒れた抽象画の「アンフォルメル旋風」に染まり、一時は「蠢(うごめ)く」(初公開)のような作品も描く。

 しかし、抽象画にとどまることはできず、59年にフランスに渡ったのを皮切りに、描きたいもの、描かなければならないものを求めて外国を放浪する旅が始まった。そして一時的な帰国を除いて77年に神戸に戻るまで続く。その間の69年には「静止した刻(とき)」で「安井賞」を受賞。日本での評価は定まったが、放浪は終わらなかった。訪れた国はフランスのほかに、ブラジル、ボリビア、ペルー、イタリア、スペインに及んだ。

 なかでもスペインのラ・マンチャ地方の村、バルデペーニャスでの生活では、村人と親しく交流した。酒におぼれる酔っぱらいや、戦争で手足を失った元軍人、貧しい老婆たちなど社会の底辺に生きる人々と知り合い、描いた。このモチーフが、晩年の自画像と重なり合って、生涯のテーマになった。

このニュースのフォト

  • 鴨居玲「自画像(絶筆)」(1985年、油彩・カンバス、53.0×45.5cm、個人蔵、提供写真)
  • 鴨居玲「踊り候え」(1975年、油彩・カンバス、116×89cm、個人像、提供写真)
  • 鴨居玲「教会」(1976年、油彩・カンバス、162×130.7cm、(公財)ひろしま美術館、提供写真)
  • 鴨居玲「蠢く」(1963年、油彩・ジェッソ・カンバス、100×100cm、提供写真)

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