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絶望、孤独…死が漂う「自画像」 「没後30年 鴨居玲展 踊り候え」

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絶望、孤独…死が漂う「自画像」 「没後30年 鴨居玲展 踊り候え」

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 絶筆 表情に安らぎ

 随筆集「踊り候え」(1989年、風来舎)の中で、鴨居は、「人間の心における暗い面、弱い面といったところに興味をひかれる」と述べる。自作については「かたちを借りるだけで、私の中でつくりあげた人間なんですよ。つまり私の自画像のようなものです」と明かしている。

 人間に興味があり、ほとんど人物画しか描かなかった鴨居だが、建物を描いた作品「教会」が残されている。窓もない教会は宙に浮き、地上に十字形の影が伸びる。ひときわ高く天に突きだした鐘楼らしい部分には、気づかないほど小さな十字架が立っている。

 「踊り候え」で、鴨居はこう振り返る。「『神』を持っている人は楽だし、幸福ですが、持っていない人間はというと、自分しか頼るものはない。そこから『神』とは存在するのだろうかという問いかけが生まれてくる。フランスではさがしたけれど、いなかったという答えがかえってきただけです」

このニュースのフォト

  • 鴨居玲「自画像(絶筆)」(1985年、油彩・カンバス、53.0×45.5cm、個人蔵、提供写真)
  • 鴨居玲「踊り候え」(1975年、油彩・カンバス、116×89cm、個人像、提供写真)
  • 鴨居玲「教会」(1976年、油彩・カンバス、162×130.7cm、(公財)ひろしま美術館、提供写真)
  • 鴨居玲「蠢く」(1963年、油彩・ジェッソ・カンバス、100×100cm、提供写真)

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