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【欧州サッカー】欧州CL決勝 次なる「戦い」 舞台裏で火花

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【欧州サッカー】欧州CL決勝 次なる「戦い」 舞台裏で火花

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欧州チャンピオンズリーグの優勝カップをバルサに渡す欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ会長。彼が国際サッカー連盟(FIFA)の今後の鍵を握る。左はネイマール=2015年6月6日、ドイツ・首都ベルリン(AP)  サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)は6日、ベルリンで決勝戦が行われ、バルセロナ(スペイン)がユベントス(イタリア)を3-1で下し、4季ぶり5度目の制覇を果たした。歓喜のイレブンはメーンスタンドで、欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ会長から、優勝トロフィーを受け取った。

 かつてユベントスの中心選手として「将軍」とも呼ばれたプラティニにとっては、皮肉な役回りといえたかもしれない。もっとも汚職問題に揺れる国際サッカー連盟(FIFA)にあって、プラティニは今後の鍵を握る主役となり得る。

 決勝の行われたベルリンのオリンピック・スタジアム貴賓席に、ブラッターFIFA会長の姿はなかった。大西洋を隔てたカナダではFIFA主催の女子ワールドカップ(W杯)が開幕したが、こちらにもその姿はない。チューリヒのFIFA本部に籠もり、事後策を練っているとされる。すでに辞意を表明している会長がどちらの会場に現れても騒動の元となり、大会には邪魔な存在であったろう。

 代わりにベルリンには、次をにらむ大物が集結し「プラティニ詣で」にいそしんだ。組織上、UEFAはFIFAの下部組織に当たるが、欧州CLや欧州選手権というドル箱を抱えたUEFAは、FIFAと同等かそれ以上の力を持つ。ブラッターの闘争は、UEFAに対するものだったといってもいい。富めるUEFAから資金を調達し、アジア、アフリカのサッカー後進国にばらまき、その見返りに各国協会の支持を得てUEFAに拮抗(きっこう)してきた。やや乱暴に描けば、これが世界のサッカー界の構図だ。

 次期FIFA会長にプラティニ自身が立つのか。プラティニの支持を受けた誰が就くのか。韓国の鄭夢準元FIFA副会長はさっそくプラティニを訪ねて会談し、UEFA幹部と談笑するクウェート王族のアハマド理事の姿もあった。立候補を表明したジーコもテレビ解説でベルリン入りし、早期の会長選を訴えた。戦いは、これからだ。

 ≪南米最強3トップ 止めようがない≫

 サッカーの背番号にはそれぞれ意味や印象がある。例えば点取り屋の9番、エースでファンタジスタの10番、スピードスターの11番。欧州CLを制したバルサの9、10、11番はどうだろう。スアレス、メッシ、ネイマール。南米3強国を代表する夢の(相手には悪夢の)トリオを前線に、国内リーグ、カップを合わせたバルサの3冠も当然だろうと思わせるのだ。

 過去20回を数えるW杯で優勝回数最多を誇るのはブラジルの5回。これにウルグアイ、アルゼンチンの各2回を加え、南米3カ国で8度の優勝をさらっている。

 先のブラジル大会では地元の期待を一身に集めたネイマールの腰骨骨折退場でチームは派手に崩壊した。ウルグアイもスアレスがまさかの「かみつき」で大会を去り、チームも敗れた。アルゼンチンは守備を免除したメッシ一人に攻撃を任すワンマン戦術で、それでも決勝戦に進み、ドイツを苦しめ抜いた。どれだけメッシに気を使ったチーム編成であったかは、メッシと反りが合わないというだけの理由で代表を外されたのが、ユベントスの10番、テベスだったことでも分かる。

 そんな3人が「ピッチ内外で仲がいい」と言ってのけるのだから、どうにも止めようがない。この日もネイマールを起点に先制し、メッシのドリブルからミドルシュートのこぼれ球をスアレスが押し込んで2点目、3点目はメッシのパスからの速攻でネイマールが確実に決めた。個性の強い3人がどこかで反目し合わない限り、この強さは続くだろう。

 豪華前線トリオ完成の陰で時代を作った一人のMFがクラブを去る。下部組織からの生え抜きで、イニエスタとともにメッシを自在に操ったシャビにとってはバルサ最後の試合。後半、イニエスタからキャプテンマークを受け継いでピッチに立ち、優勝が決まるとウイニングボールを送られ、カップを掲げた。

 もう一人、珍しく敗戦後に涙をみせたユーベの司令塔ピルロにも、退団の噂がある。時代は確実に変わっていく。(EX編集部/撮影:AP、ロイター/SANKEI EXPRESS

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