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中国買収…名門ホテルもう使えない? 米国務省、情報漏れなど警戒
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名門ホテル「ウォルドーフ・アストリア・ニューヨーク」の正面玄関。外見はシンプルだが、内装が美しく、ニューヨークの歴史的建造物に指定されている=2014年10月6日、米ニューヨーク(AP) 米国務省が、毎年9月の国連総会シーズンに拠点として使ってきたニューヨークの名門ホテル「ウォルドーフ・アストリア・ニューヨーク」を、今年は利用しないことが18日までに分かった。国務省側は理由を明かしていないが、このホテルを昨秋、中国資本が買収したことに加え、今月はじめに起きた米政府職員400万人分の個人情報がハッカーに盗まれる事件で中国のハッカー集団の関与が浮上したことから、安全保障上の問題を懸念したとみられる。国務省の決定にホワイトハウスや他の政府機関などが追随するのは必至。米中間の神経戦が続く中、名門ホテルの看板にかげりが見えてきた。
ホワイトハウスと国務省は今回のホテル問題に関しコメントを拒否したが、AP通信は17日、当局者の声として、ウォルドーフの代わりに、同じくニューヨーク中心部にある1882年創業の老舗ニューヨーク・パレス・ホテルを使うと報じた。
ウォルドーフは1893年の創業で、現在の建物は1931年に開業。49年に米ホテル大手、ヒルトン・ワールドの創業者が経営権を取得した。風格ある装飾の美しさから93年にはニューヨークの歴史的建造物に指定された。バラク・オバマ氏(53)ら歴代米大統領や政財界人らがこぞって利用し、外交史の重要な舞台にもなったほか、マリリン・モンロー(1926~62年)をはじめ、定宿に選ぶ大物スターも多くいた。
毎年9月の国連総会シーズンには、米政府要人やサポートスタッフら数百人が、厳重に警備されたウォルドーフの2フロアを使ってミーティングを行うのがここ数十年間、通例だった。
ところが昨年10月、ヒルトン・ワールドがウォルドーフを中国の保険会社、安邦保険グループに19億5000万ドル(約2400億円)で売却。ホテルの運営はヒルトンが今後100年間継続するが、今後、施設を大規模に改装するため、盗聴システムの埋め込みを含め、国連総会に関するさまざまな情報漏れの危険性が一気に噴出した。
一方、42階に住む米国のサマンサ・パワー国連大使(44)の転居については不明。ただ、当局者はオバマ大統領の宿泊取りやめの可能性を示唆した。日本の国連代表部幹部によると、日本政府も利用中止を検討しているという。
国務省では在中国の米外交官が日常的に当局の監視を受けており、中国を旅行する一般米国民もとりわけホテルで同様のリスクに直面していると認識。AP通信も「(中国では)会議室を含むホテルの部屋や車、タクシー、電話のほか、ホテルの部屋で使うパソコンなどすべての持ち物を当人の許可なしに当局が調べている」との旅行専門家の声を紹介した。
政府関係を中心にウォルドーフの利用を控える動きが広がる一方、中国系経済人の利用は活発だ。6月10日付米経済専門局CNBCによると、ウォルドーフで9日開かれたニューヨーク経済人会議の席上、中国の電子商取引大手アリババグループのジャック・マー会長(50)は「われわれが共に働くなら、互いに理解し、感謝し、助け合えようになると確信している」と訴え、昨今の米中間の緊張はやがてほぐれると楽観した。
ただ、5月30日付ロイター通信によると、次の拠点と想定しているニューヨーク・パレス・ホテルも韓国のロッテホテルが8億500万ドル(約991億円)で8月までに買収する。米当局にとっては頭の痛い日が続くことになりそうだ。(SANKEI EXPRESS)