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何十年たっても色あせない親子の成長物語 役所広司、宮﨑あおい 映画「バケモノの子」
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「声優にもどんどん挑んでいきたい」と語る主演の役所広司(やくしょ・こうじ)さん(左)と宮崎あおいさん=2015年6月15日、東京都千代田区(蔵賢斗撮影) 大ヒットを記録したアニメーション映画「おおかみこどもの雨と雪」から3年、ヒットメーカー細田守監督(47)によるオリジナル長編「バケモノの子」が完成した。多くの若者たちが集う東京・渋谷の街と、バケモノたちが暮らす「渋天街(じゅうてんがい)」。交わるはずのない2つの世界を舞台に、ナイーブな人間の少年・九太(きゅうた)と、けんかがめっぽう強いバケモノ・熊徹(くまてつ)との間に師弟とも親子ともつかない不思議な絆が芽生えていく-。今回、脚本も手がけた細田監督による現代のおとぎ話がすがすがしく描き出された。
主人公の熊徹を力強く圧倒的な声色で表現した役所広司(やくしょ・こうじ、59)はSANKEI EXPRESSのインタビューに「作品は親と子、特に父と子を描いた成長の物語なんですね。何十年たっても色あせない物語だと思いますよ」と太鼓判を押した。これに対し、九太の少年時代を担当した宮﨑あおい(29)は「迫力満点の格闘シーンがたくさん描かれているので、完成後に作品を見たとき、なんだかわくわくしました」とハイライトの一つを紹介した。
《九太(宮﨑、青年時代=染谷将太)は、9歳のときに起きたある出来事をきっかけに両親と離ればなれとなり、親戚に引き取られることになった。だが、自分の居場所が見つけられない九太は家出を決行。東京・渋谷の繁華街をさまよい歩くうちに、偶然、バケモノたちが暮らす渋天街に迷い込んでしまう。言葉は通じるものの、右も左も分からない異空間。渋天街でも指折りの格闘家、熊徹に引き取られる。しかし、弟子にはなったものの、粗暴で、品がなく、教え方がうまくない熊徹に九太は不満を募らせ…》
息子(俳優の橋本一郎)の子育てはとうに終えた役所は、不幸にも実の両親によってもたらされる形となった、九太の癒やしがたい心の傷に言及した。「子供とは、大人の振る舞いを見て育つものなので、大人の側はいつでも気を抜くことができません。子供は親から受けた心の傷を、大人になってもちゃんと覚えていますよ。親にしてみれば、心の傷をバネにして、強く成長してくれればいいんでしょうけれどね。大人は、子供への言動には本当に気をつけなければいけません」と警鐘を鳴らした。
また、役所は「親がいい大人であれば、子供もいい大人へと育っていくものなんだろうな」とも。「もっとも、自分の子供は(父親を見て)『こんな大人になっちゃいかん』と思って、ちゃんと立派に成長してくれたという部分があるかもしれませんけれどね」と、自嘲を交えておどけてみせながらも、子育て真っただ中の若い親たちにこそ本作は見てもらいたいとの強い思いも語った。
役所の子育て論を熱心に聞き入っていた宮﨑に水を向けると、「将来、母親になったら、手作りでいろんなものを作ってあげられるお母さんになりたいな」と、ほのぼのとした答えが返ってきた。「例えば、学校に持って行くバッグ一つでもいいですし、子供のネームプレートとか、ワッペンでもいい。ご飯もそうですね。私も母にいろんなものを作ってもらった記憶があり、それがベースとなって自分も今、いろんなものを作ることができるようになっていると思えるんです。母は一つ一つ思いを込めて作ってくれた。私も自分の子供に同じことをしてあげたいな」。7月11日、全国公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)