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「DS」「Wii」ヒット 任天堂・岩田社長死去 ゲームファン層拡大 世界中から悼む声

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「DS」「Wii」ヒット 任天堂・岩田社長死去 ゲームファン層拡大 世界中から悼む声

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2006年5月に米カリフォルニア州ロサンゼルスで新型ゲーム機「Wii」を説明する任天堂の岩田聡(いわた・さとる)社長。早すぎる死を悼む声が相次いだ(ロイター=共同)  人気ゲーム機「ニンテンドーDS」や「Wii(ウィー)」の開発を主導した任天堂社長の岩田聡(いわた・さとる)氏が11日、胆管腫瘍のため死去した。55歳。通夜は16日午後6時、葬儀・告別式は17日午後1時、京都市左京区岡崎天王町26、岡崎別院で。喪主は妻、佳代子(かよこ)さん。葬儀委員長は竹田玄洋・任天堂専務。

 後任の社長は未定で、当面は代表権を持つ2人の専務が社長業務を代行する。

 任天堂によると、数日前から体調を崩して入院していた。昨年の株主総会は、胆管腫瘍(たんかんしゅよう)の療養で欠席したが回復し、今年の総会は議長を務めていた。

 事業スタイル転換道半ば

 岩田氏は、ゲーム制作会社「ハル研究所」で任天堂向けソフトの開発に携わった後、創業家の山内溥(ひろし)前社長の目にとまり、2000年に任天堂の取締役に迎えられた。02年5月に42歳の若さで社長に就任し、「ニンテンドーDS」や「Wii」などヒット商品の開発を先導。両機の世界的な好調を背景に、09年3月期連結決算は売上高1兆8386億円と過去最高の業績を記録した。

 ソフトでは「脳を鍛える大人のDSトレーニング(脳トレ)」などで高齢者や女性に利用者層を広げた。

 しかし、近年はスマートフォンなどの普及拡大でゲーム専用機の販売が苦戦。14年3月期まで3年連続で営業赤字に陥った。

 「任天堂らしい収益に戻す」と強調し、今年に入って、ディー・エヌ・エー(DeNA)との提携でこれまで慎重だったスマートフォン向けゲームの開発に乗り出したほか、米テーマパークのユニバーサル・スタジオ運営会社などとの提携を相次いで発表。岩田氏が先導する形で、既存のゲーム機を中心とした独自運営からの転換を目指していた。

 こうした路線を引き継ぎ、年内に投入予定のスマホゲームなどの新しい事業を業績回復につなげられるかが、今後の課題となりそうだ。

 「新しい未来築こうと…」

 岩田氏の死去を受けて、世界のゲーム業界や地元経済界から13日、短文投稿サイトのツイッターなどを通じて悼む声が相次いだ。

 ソニーの平井一夫社長は「世界中のゲームファンの拡大に尽力してきた功績に敬意を表する」とかつてのライバルをたたえた。

 米マイクロソフトのゲーム部門を率いるフィル・スペンサー氏は「(岩田氏の)情熱と創造性とリーダーシップは業界の地位を高めた」と評価した。

 提携しているDeNAの守安功(もりやす・いさお)社長は「これから岩田さんとともに新しいゲームの未来を築こうとしていた矢先のことで大変残念だ」と悼んだ。

 京都商工会議所の立石義雄会頭(オムロン名誉会長)は「まだまだ若く、京都経済だけでなく、日本のコンテンツ産業の未来を牽引(けんいん)すると期待していた」と惜しんだ。(SANKEI EXPRESS

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