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経済
【Q&A】ソニー AV事業分社化 海外勢と競争激化 コスト削減
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記者会見で、AV事業の分社化について説明するソニーの平井一夫社長=2015年2月18日、東京都港区(ロイター) ソニーは、音響・映像(AV)機器事業を、10月をめどに分社化すると発表しました。この部門は、ソニーの商品を代表する携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」などを扱っています。
Q 分社化とは
A 企業が社内の事業部門を切り分け、独立した子会社にすることです。各事業の収益に対する責任を明確にするのが狙いです。他社との提携や買収といった戦略を迅速に進められるようになるほか、業績が悪化した際には、売却も容易になります。
Q なぜ分社化を進めるのですか
A ソニーは1946年に設立されて以来、映画や音楽、金融分野など事業の幅を広げてきました。近年、海外勢との競争激化で、原点である電機事業の業績が低迷しており、コスト削減や組織の見直しを迫られているのです。
Q ソニーが目指す経営体制は
A 大きな組織には、効率的な運営が求められます。このため「小さな本社」が経営企画や管理に特化し、各事業がそれぞれ自立して運営する体制をつくる考えです。
Q これまでに分社化した事業は
A 韓国勢との低価格競争の影響を受け、赤字が続いているテレビ事業です。現在、コスト削減や高価格帯の商品への絞り込みを進めています。市場の伸びが鈍っているAV機器は投資を抑えて、安定した収益を得られるようにします。本社に残っている半導体とデジタルカメラ事業も、分社化に向けて準備を進める計画です。
Q その他の事業はどのような体制ですか
A スマートフォンやゲーム機、映画、音楽事業も子会社として運営しています。生命保険や銀行業務を手掛ける会社も傘下にあります。
Q 売却を検討している事業はあるのですか
A 競争が激しいスマホとテレビ事業は、商品や販売地域を絞って、利益の確保を優先します。その上で、平井一夫社長は、見通しが立たなければ「売却や提携も視野に入れていかないといけない」と話しています。「VAIO(バイオ)」で知られるパソコン事業はすでに株式の大半を売却しました。
Q 売却せずに力を入れる事業は
A 半導体、ゲーム機、映画、音楽部門を、成長を牽引(けんいん)する事業に位置付けています。積極的に投資し、利益の拡大を目指します。
Q 分社化のデメリットは
A 必ずしも業績が良くなるとは限らず、グループ全体の意思統一が難しくなる恐れもあります。各事業の責任は明確になりますが、本社の首脳陣の責任が不透明になりかねません。ソニーは昨年、上場以来初の無配を決めましたが、その経営責任はあいまいになっているとの指摘があります。
≪高音質「ハイレゾ」製品に注力≫
ソニーのAV機器事業は、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」により、個人がヘッドホンを使って音楽を聴くスタイルを確立した。現在は、高音質の「ハイレゾリューション(ハイレゾ)」音源を楽しめるデジタル再生機器やヘッドホンの開発、販売に力を入れている。ソニーはかつて、カセットテープやMDのウォークマンも販売してきた。しかし、インターネットやCDから記憶媒体に曲を取り込む機器が優勢になり、世代交代が進んだ。カセットテープやMDを使う製品は既に出荷を終了している。
ソニーは14日に、ハイレゾ音源に対応したウォークマンの最上位機種「NW-ZX2」を売り出した。臨場感のある音楽を体感できるのが売りだ。3月には、ハイレゾ対応のヘッドホンの新機種「MDR-1ABT」を発売する。ソニーのグループ会社が運営する音楽配信サービスでは、ハイレゾに対応した音楽の配信の強化を進めている。(SANKEI EXPRESS)